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はるちはのようなSSのような

2013年02月21日 04:07

お久しぶりです。小六です。
そんなわけで、以下略。

以下、SSのような何か。



 その日は世界が止まって見えるくらい、とても平和な昼下がりだった。

「私にとって歌うということは、子供が駄々をこねるみたいな行為なの」
「あれがほしい、どうして買ってくれないの?」 私は尋ねる。
「そう。自分で手に入れることができないから」 千早ちゃんは頷く。

 ふらりと立ち寄ったカフェで、私と千早ちゃんは温くなったエスプレッソを飲んでいた。

「時間を潰すって、きっとこういうことなのね」
「病院の回診で、今生のお別れを何度も告げるみたいな」
「飲んでいるコーヒーに使われた豆の数を考えるような」

 小さな飲み口をすすりながら、千早ちゃんは私を見て笑った。
 あなたと話していると、凶悪な殺人事件も三分間の料理番組になってしまうわね。
 そんなことないですよ。私はいつだって真面目に千早ちゃんのことを考えてるよ。

「だから、別れましょう」
「うん、そうだね」

 その日は世界が止まって見えるくらい、とても穏やかな小春日和だった。


  ※ ※ ※


 それが昨日の話だ。別れるときって、もっとひどいことになると思ってたのになぁ。
 こんなオフの日だというのに身体は融通が利かないもので、いつもの時間に目を覚まして二度寝を逃した。
 ぼんやりと卵をフライパンの上に割って、目玉焼きを作る。しばらくすると卵の焼けるいい匂いがしてきた。

「うーん。今日も素晴らしい焼け具合」

 自画自賛を醤油の代わりにひっかけて、出来立ての朝食を頂く。とろとろの半熟がすきっ腹にうれしい。
 新聞の一面を流し読みすると、今日は文句なしの快晴。プロデューサーさん、世界は今日も平和です。
 間抜けした二月の朝と遊んでいると、洗濯機のアラームに急かされた。食器をシンクに置いた後、私はベランダで服を干す。

「白は汚れが取れにくいんだよなぁ。このむっつりさんめ」

 ためにためた一週間分の洗濯物を干しながら、私はううむと腕を組む。
 まったくどうしてくれようか。いや、もうどうすることもないか。冬の風に、白い見栄が傍目に揺れた。
 空を見上げると、背伸びしたくなるような青空が広がっている。羽が生えていたら、どこまでも行けそうだ。

「さて、そろそろ冬支度でもしましょうかね」

 コンクリートの床はまだ冷たくて、寝起きの温もりなんてあっという間に削ぎ落とされてしまった。


<続いたらいいね>



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