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はるちはまこSS書きました

2014年01月27日 02:50

お久し振りです。小六です。
ちはまこのようなはるまこのようなはるちはSS書きました。わけがわからないよ。
以下、SSとなります。

「ねぇ、真」

 事務所でスケジュールを確認していると、春香に話しかけられた。
 春香は『この恨み晴らさでおくべきや』といった感じでこちらに詰め寄られ、ボクはたじろぐ。

「どうしたの、春香」

 ボクとしては思い当たる節がないので、こうして理由を尋ねるしかできない。
 春香といえば、何をすっとぼけた顔をしてるんだ、といった表情で、恨めしそうにこちらを見ている。

「真は私に謝らないといけないことがあると思うんだ」
「ええと、冷蔵庫にあったお菓子を食べたことだったら、悪かったと思ってるよ」
「あれ、真だったんだ」 どうやら藪蛇だったようだ。春香はかぶりをふって 「いや、それじゃなくて」と話題を戻す。

 事務所のデスクで話していた千早と小鳥さんが、何かあったのかとこちらを不思議そうに見ていた。
 二人の視線を感じた春香は、「いいから早くこっち」と、半ば強引にボクの手を掴み、ボクは社長室に連れていかれた。

「真。昨日、千早ちゃんと遊びに行ったんだよね」

 いつの間に持ってきたのだろう。デスクの上にはジュースとドーナツが入った箱が用意されていた。
 春香は社長室の椅子にどっかりと座り、ストローでグラスの氷をくるくると回している。

「ああ、うん。千早に誘われてね」
「千早ちゃんに誘われて?!」

 予想外のところで春香の語調が強まったので、ボクは身体を少しのけぞらせる。

「いや、うん、そうだよね。千早ちゃん。こういうことはあんまり私に言ってくれないもんね…」

 春香はデスクの先を見つめ、大きくため息をついた。
 こういうのを、嫉妬と言うのかな。何にしても、迷惑極まりないということには変わりはないのだけれど。
 社長室の扉の向こうから、雪歩の声が聞こえてきた。丁度事務所に帰ってきたところなのだろう。
 (お茶でも淹れたほうがいいのかな)(たしか春香が持って行ったと思うのだけれど)
 ああ、本当に面倒なことになってきた。春香とはおそらく違う意味で、ボクはため息をついた。



     菊地真の平凡な休日



 千早からの電話があったのは、朝のランニングから帰って少し経った頃のくらいのことだった。
 楽しみにとっていた漫画を自室で読み始め、続きがどうなるかと心をときめかせる。
 そんな休日のひと時に、机の上で携帯が震える。千早からだった。珍しさもあってか、ボクは電話に出る。

「もしもし、菊地ですけれど」
「真?」「うん、そうだよ」「突然で悪いのだけれど、少しお願いがあって」
「千早が電話なんて珍しいね」
「もう、からかわないで」
「で、どうしたの?」
「よければ今日、買い物に付き合ってもらえたらと思って」

 買い物なら、春香の方が適役だと思うけど。

「思い付きで、遠いところから来てもらうわけにもいかないでしょう?」

 千早の言葉に、そうじゃないんだけどなぁ、と苦笑してしまう。
 春香なら、喜んで来ると思うんだけどなぁ。
 そう思ったのだけれど、そういう水っぽさが千早らしいのかな、とも思えて、ボクは千早の誘いに乗ることにした。

 休日の改札口はそれなりに人でごった返していて、千早と合流するのに少し手間取った。

「買い物って、服とか?」
「ええ、季節も変わり目だし。それに」
「それに?」
「あとは、…こういうこと、少しずつ楽しんでみたくて」

 千早の言う『こういうこと』には、色々なものが詰まっているんだと思う。
 特に買うものもないのに店を回ったりとか、友達と話しながら時間を潰すとか。
 たぶん、春香や美希に誘われて行ったことはあるんだろうけど。
 千早も変わったなぁって。どうしてか上手く説明できなかったけれど、とても嬉しかった。

「…で、千早ちゃんとデートしてきたと」
「あれをデートって言うなら、そうだろうね」
「ふぅん」

 事情を聞いた春香は、まだ不満そうな顔をしていた。(だから春香を誘えばよかったんじゃないかなって思うのだけれど)
 箱からドーナツを取り出して、もぐもぐと咀嚼していた。

「このドーナツ、おいしいね」
「全部食べると、太るよ?」
「余計なお世話だよ」
「ああそう」

 ちなみに春香が食べているドーナツは、昨日遊んだ帰りに買ってきたものだ。
 まぁ、某チェーン店のドーナツなわけだけれど。一生懸命選んでいた千早の横顔が思い返される。
 半ばやけ食いのような食べ方でごくりと飲み込んだ後、春香はボクへの追及を再開した。

「それで、どこに行ってきたの?」
「あー…。それ聞いちゃう?」

 ※※※

 合流したボクたちが向かった場所は、いわゆる地元の主婦御用達のありふれたショッピングモールだった。
 雑然と並べられた自転車置き場を横切りながら、ボクは千早に尋ねた。

「千早…ここなら普通に一人で行けるよね?」
「…人ごみの多い場所はあまり好きじゃないのよ」さも当然といった感じで「ついでに夕食も買えて、便利でしょう?」

 それ、完全に主婦の発想だよ、という言葉が喉の上までこみあげてきて、飲み込むのにだいぶ苦労した。
 当の千早といえば足取りも軽く、颯爽と自動ドアをくぐり抜けていった。
 千早のあの絶妙な服のセンスは、店を選ぶところから始まっているんだ…
 千早の後を追いかけながら、ボクはそんなことを考えた。

「千早って、そういうところが抜けてるよね」
「そういうところが可愛いんだよぅ」

 分かってないなぁ、真は。春香は2つ目のドーナツをほおばっていた。
 相変わらず、春香の千早びいきは徹底しているなぁ。
 窓の外を見ると、電線の上でスズメが居眠りをしていた。

「平和だねぇ」
「そうだねぇ」
「まぁ、あの品揃えで真剣に悩んでいる千早は見物だったかな」
「そういえば、何を買ったの?」
「どこにでも売ってそうな、シャツと帽子。あと、それと」

 扉からノックの音がして、ボクは言葉を切った。

「真、そろそろ仕事だって。小鳥さんが」

 なんだかんだで1時間くらい話していたんだな、と時計を見て驚く。
 千早の冷たい視線が、程よく突き刺さる。『社長室で何してるのよ』とかなんとか、今にも言われそうな視線だ。
 ホント、とばっちりもいいところだよね。春香からようやく解放されると、内心ほっとしながらボクは椅子から立ち上がる。

「ねぇ千早」こうなったらせめてもの仕返しだ「今度は春香も誘ってほしいってさ」

 にやりと笑うと、「…検討しておくわ」と素直じゃない返事が返ってきた。
 連れ回された挙句、とばっちりまで頂いたのだから、これくらいは許してくれないと困る。
 まぁ、ボク自身、なんだかんだで楽しかったわけだけど。

「そうだ、春香」

 仕返しついでに思い出したので、振り向きざまに春香を呼んだ。

「三つめのドーナツくらい、ゆっくり食べないとダメだよ?」
「余計なお世話だって!もう!」

 ※※※

「千早、どうしたの?」

 買い物を終えて、駅に帰ろうとしているときのことだった。
 千早が通りにあるドーナツ店を見て足を止めて、少し立ち止まっていた。

「春香はああいうの、好きかしら」
「まぁ、好きなんじゃない。自分で作ってくるくらいだし」
「そうよね」

 そう言って、千早は神妙な顔で再び考え始めた。
 大方、春香が困るんじゃないかとか、そんなありえないことを考えているに違いない。
 ああもうじれったいなぁ。ボクは千早の手を取り、店に向かった。

「ついでだし、買っちゃおうよ。みんな食べられるくらい、たくさん」
「でも、食べきれるかどうかなんて、分からないわ」
「大丈夫だって」 ボクはニシシと笑った。

「余ってたら、春香なら3つくらい食べちゃうよ」

 だからね、春香。
 三つめのドーナツくらい、ゆっくり食べないとダメだよ?




 <了>
 



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