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はるちはSFSS書きました

2009年12月13日 20:02

お久し振りです。小六です。

なんということでしょう。SFを書いたことのない人がSFなSSを書いたんですって奥様!
本人いわく、「SFって聞いてこれ位しか書けなかった。許してほしい」とのことですって!

あらやだ、しかもはるちはなんですって!
恥さらしにも程がありますわ!
SF小説を2日前に読んだ人間がSFSSを書くだなんて、無謀にも程がありましてよ!

はい、そんなSSです。はるちはのSFSSです。
宇宙飛行士春香さんとメカ千早さんのSSだそうですよ。

以下、SSとなります。また無駄に長いです。笑って許して下さるとうれしいです。



    ハロー ハロー 聞こえますか  私はここにいます


    ハロー ハロー 聞こえますか  私はここにいます




 まっくらな海に自分の存在を発信し続ける。宇宙船のパドルはくるりと音もなく回転する。
 太陽電池パネルのついたそれは、遠い太陽の光を受けてきらきら輝いていた。



      ハロー ハロー 聞こえますか


          私はここにいます






      ――――――― ライカ ――――――――








 目の前のコントロールパネルから響いたのは、メカニカルなB4の長音。グラーヴェ。
 ふとコントロールパネルに視線を移すと、
 < new galaxy is discovered >と緑色のランプが点灯しているのが見えた。
 私は無線機のスイッチを切り、コントロールパネルの方へ向かう。
 省エネルギー設定にしていたパネルは案の定スリープ状態になっていた。


   まったく、ちょっと放っておくとすぐにサボろうとするんだから


 私は寝付きの良いパネルに苦笑しながら、手際よく[HARUKA]と打ち込む。
 C3からB3へとメロディは流れ、
 < HELLO! MY M@STER >と、パネルは悪びれもせずに私に挨拶をした。

 パネルからポップアップされて出てきたのは、結晶光子で構成されたホログラム。
 その中にぴかぴかと赤い星が点滅している。
 その画面上の星にそっと触れると、その星の暫定情報が浮かび上がった。


    バーミリオンレッドの光の糸で紡がれた、つば付きの洒落た帽子。
    いわゆるソンブレロ銀河という類の銀河。
    
    大きさは極小、中心から勢いよく噴き上がるクエーサー。
    そのエネルギー量からしてどうやら赤ん坊銀河のようである。


 もしかすると今まで発見されていない銀河かもしれない。
 私は歓喜の笑みを漏らさずにはいられなかった。
 遠距離対応赤外線カメラ[MIPS2]からの情報をもとに、近~中距離対応赤外線カメラ[LILAC]のピントを合わせる。


    Project Name:SINGS-XX (正式名称は忘れた。まぁ気にしない)
    スピッツァー16と名付けられた最新鋭の望遠鏡による、未発見銀河の情報を取得するプロジェクト
    この計画には特殊な感覚、 ―ありていに言ってしまえば絶対音感―
    その感覚を有する飛行士が必要不可欠らしく、
    それゆえ、凡人飛行士候補として有名な私こと天海春香が抜擢されたというわけだ。
    もつべきものは役に立ちそうにない才能である。まるまるどっとはらい。


 私は手慣れた手つきで赤ちゃん銀河の情報の取得に取りかかった。
 ステレオのフェノムパルスがPG原子基盤に情報を固定化させる電子音が心地よい。アレグロ。
 

「また私に無断で情報を取得しているのですか、春香」


 背後から聞こえる透き通った声。
 その声がする方を振り向くと、見目麗しい女性が無表情な顔をして佇んでいた。
 その女性は腕を組み、とんとんと何やらリズムを取っているかのように指を腕の上で動かしている。


「こればかりは譲れないよ。千早ちゃん」
「アナタは目を離すといつもこう走ってしまいますね」
「えへへ、だって何かを見つけたときの楽しみがあっての探検家だもん」

 私がそう言うと、彼女はため息のような駆動音を鳴らして、私に問いかけた。

「仕方がないですね。とりあえず情報はいつも通りの方法で記録してよろしいですか」
「うん。お願い」


 私がそう言うと、千早ちゃんはその瞳を伏せて、宇宙船の壁に右手を沿わせた。
 ただ瞳を閉じているだけなのに、その整い過ぎた顔立ちのためか、どこか物憂げな表情に見える。


「ねぇ、千早ちゃん」
「何ですか、春香」

「 月が綺麗だね 」

「はい。恒星の光に照らされる衛星を『月』と表現するならば、ここから見える衛星…S-16158でしょうか、とても美しく輝いています」


    はい。とてもパーフェクトな解答、ありがとう。
    だけどそれは私が欲しい解答じゃないんだ


 まったく生真面目すぎるにも程がある。私は彼女に苦笑いした。


「…千早ちゃんはもっと勉強した方がいいと思う。主に文学とか」
「文学は私の専門外ですので」
「ああ、まぁ、そうだよね」

 今まで小さく聞こえていたパルス音が消える。
 それから若干のタイムラグの後、ゆっくりと千早ちゃんが目を開ける。情報の記録が終了したようだ。

「よろしければアナタの方からご教授願えれば、アナタが望む答えをお答えすることができますが?」
「それはイヤ」
「…たまにアナタが何を意図して私に話しかけているのか、分からなくなります」
「分からないなら、考えればいいよ。時間はたっぷりあるんだし」


 我ながら無茶な指令だと思う。そうは言うけれど自分で言うことなんてできやしない。
 重力付加装置をオフにした後、とん、と床を蹴る。ふわりと身体が宙に浮いた。


    千早ちゃん、正式名称『BST-72-161-CHIHAYA』
    JP製アンドロイドの雄たる「メカニクス如月」が作り上げた最高傑作


 その特徴は、最新AIたる光電子頭脳のスペックをフルに利用したその思考回路。
 フォトニック結晶をパルス音の波長に合わせて様々な形態で固定化・流動化させることで、今までよりもスムーズかつ柔軟性をもった思考ができるように設計されたものらしい

 宇宙を出発する前にそう研究者さんから聞いた。まぁ私にとってはどうでもよい話である
    
 私が知っておくべきことは一番大切な事実。とてもシンプルな事実だ。




     『 千早ちゃんはロボットである 』




 宇宙船の自立型ジャイロが稼働を再開する。低い駆動音が部屋の中を震わせた。







  ◆ ◆ ◆ ◆ ◆





 ぽーん。まのびしたA5の音が衛星の重力場に入ったことを私達に告げた。ラルゴ。
 久し振りに一仕事を終えた気分だ。これから新しい銀河を調査できると思うと、ドキドキしてきた。


「千早ちゃん、あとどれ位で調査できる場所に到着できると思う?」
「現在の状態のまま進めば、後3時間程度で到着できるかと」

「そっか、それじゃあこの銀河が未発見銀河である可能性は?」
「私が有している情報によれば、この銀河が未発見のものである可能性は72%です」

「うーん、そんなものか」
「数値に惑わされてはいけません。可能性とは信じるための一つの要素にすぎません」

 
 大切なのは信じることです。そう言って彼女はコクピットから見える赤ちゃん銀河の方に視線を遣った。
 カーボングラス製の滑らかな彼女の肌 ― もとい外装部 ― が窓から差し込む光に照らし出される。
 その横顔はどうみても知性あふれる人間のそれだ。
 
 ロボット科学もここまで進歩したんだなぁと改めて驚く。無事帰還できたら是非ともお礼を言おうと思う。
 ああ、そうだ。一言多いのかもしれないけれど、一つだけクレームを言っておかないと。
 ゆったりとした沈黙が宇宙船におちる。絶対的な沈黙。私はそれに未だ慣れることができない。


「ねぇ、千早ちゃん」
「何でしょう」
「歌、一緒に歌いたいな」
「データにあるものであれば、アナタの声に合わせて歌わせて頂きます。タイトルは?」
「ええとね、ムーンリバー…だったかな」


 しばしの沈黙の後、千早ちゃんはその歌を歌いだした。
 美しい唇から紡ぎだされるのはパーフェクトなメロディ。
 さすが音に重点を置いて開発されただけのことはある。私はその完璧な音階に乗って歌を口ずさむ。


    パーフェクトなスペック。ある一つを除いては
    この歌を歌っても気付かないなんて、ある意味欠陥品だ

    ああ、この愛しきハックルベリーフレンド!

 
 10分もしないうちに歌は終わりを迎えた。


「…やはり、アナタの歌にはどこか無駄な要素がある気がしてなりません」
「千早ちゃん…それってどういう意味?」
「そのままの意味です。今の私にはその要素の正体が何かを把握することができませんので」
「ああそう」

  
 音痴とは言わないんだね。私はぷかぷかと浮かびながら彼女をじっとりとねめつけた。
 視線の先の彼女は相変わらず無表情で、その言葉の意味を慮ることができない。


「何でしょうか?」
「何でもない。それより、ダークマターの分布はどうなってるの?」
「今のところ、何も問題はありません」
「そっか」



 コントロールパネルからサブCPUが起動したことが音もなく表示された。
 それが示している意味。静かに忍び寄ってくる危機。

 その情報はきちんと捉えていた。
 だけど私は表面的に捉えていただけで、それが暗に示す意味を予想するには私は経験が浅すぎたのだ。






  ◆ ◆ ◆ ◆ ◆






   穏やかな船内はけたたましいアラーム音で引き裂かれた。
   D7の重なり合う絶叫  プレスティッシモ



 その音の大きさといったら。感情が一瞬にして「警戒」の赤い荒波にもっていかれそうになる。
 まずは落ち着いて。私は大きく深呼吸をした。可能な限り迅速に現状把握をしなければいけない。
 私はコントロールパネルの前で何やら操作をしている千早ちゃんへ口早に話しかけた。


「千早ちゃん、どうなっているの」
「どうやら予定航路の軌道に『ブレーンのきしみ』があるようです」

 千早ちゃんもどうやら余裕がないらしく、極めて簡単な言葉でしか応答してくれない。

「『ブレーンのきしみ』?」
「簡単にいえば、他次元世界への入り口です。一方通行の」
「もっと簡単にいえば、とても危険なものに近づいているってこと?」
「はい、その通りです」


 彼女は無駄のない手つきでコントロールパネルを操作し、人間の私では理解しきれない数のホログラムを立ち上げた。
 情報の詳しい内容については掴みきれないが、かなりの緊急事態であることは私の頭でも理解できる。
 じわじわと音もなく近づいてくる脅威。心臓に氷水を引っ掛けられたかのような怖れを感じた。


「アナタのせいではありませんよ。春香」
「だけど…!」
 
 私が彼女に反論しようとするその一拍前、千早ちゃんは私の方を向いて話しかけた。
 未だ鳴りやまないアラーム。それなのに彼女の穏やかな声はしっかりと私の耳に届いた

 
「重力場のひずみ、放出されている放射線量、我が星には存在しない原子崩壊パターンが散見されます」
「おそらくは未知の銀河のはずです」
「でも大丈夫」

    アナタに降りかかる危険は、私が必ず払い落してみせましょう

    それが、私の使命なのですから


  その表情に、母親が赤ん坊を抱きしめた時のような優しさを感じたのは、私の気のせいなのだろうか?


「千早ちゃん、何するつもりなの?」 

 私は彼女に聞かなくてはいけなかった。飛行士として、彼女のパートナーとして。
 その問い掛けを聞いた千早ちゃんは、彼女なりのパーフェクトな答えを返してくれた。


「船外からこの宇宙船の軌道を微修正致します。それにより、100%の可能性でこの危険から回避することができます」

「ねぇ、千早ちゃんはどうなるの?」
「計算によれば、私がこの宇宙船に帰還出来る可能性は7%弱、損傷なく帰還出来る可能性は0・03%」
「可能性は…あるんだね」
「ええ、信じるに値すべき可能性です」


    私を信じて下さい


 そう言って、千早ちゃんはコントロールパネルがある制御盤の下、緊急脱出ボタンを一つ叩き割った。
 突然重力装置がオンになったと思ったら、今度は前方に身体が引き寄せられる。
 私はその力に抗うことができずに前方に倒れ込んだ。


「相変わらずアナタはよく転びますね。筋力トレーニングを増やした方がいいですよ」
「冗談が言えるなんて、初めて知ったよ」

 
 先程の転倒の原因、それは『ブレーンのきしみ』なるものが有する引力がこの宇宙船の制御を超えたものであるということだ。
 突然訪れた脅威に私が出来ることは数える程もない。
 私は起き上がることも出来ずに千早ちゃんの方を見上げた。
 この急激な環境変化の下、彼女は悠然とパネルの前に佇んでいる。
 高性能ロボットの彼女には重力の変化などそよ風が吹き抜ける程度のものでしかないということか。
 悔しさ半分で彼女を見つめる。



「そんな悲しい顔をしないで下さい」
「悲しいって……ああ、表情の変化で分かるんだったね」 
「ええ、アナタはとても表情が変わる。面白い方でした」


 私と千早ちゃんの間に緊急隔離用のチタン製の分厚いシャッターが落ちる。
 気持ちばかりの小さな窓から彼女の姿が見えた。千早ちゃんは私の方を見つめていた。



    私の声は もう彼女には聞こえない
    だけど叫んだ。声が聞こえなくても、私の想いがきっと届くと信じて

    ただ、心のかぎりに叫んだ



 叫んで数秒。千早ちゃんはそっと瞳を閉じて、ガラス窓に口づけるかのように顔を窓にそっと寄せていた。
 何かあったのだろうか、私もガラス窓に顔を近づける。こつん、と額を窓にくっつけた。
 微かに響く規則的な音。その意味に思いあたるやいなや、私は耳を窓に押し付けた。



    とんとん

    とんつーとんとん 
    つーつーつー
    とんとんとんつー
    とん

    とんとんつー

    とんつーとんつーとんつー



 ガラス越しに伝わる無表情な長音と短音の組み合わせ。なんてストレートな言葉なんだろう。


「千早ちゃんのバカ、むっつり、無表情、ぺったんこ、薄情」

 ああ、素直じゃないのは私だ。
 彼女がこんなにまっすぐな正解を私に示してくれたのに、私はそれを素直に受け入れることができない。
 千早ちゃんはじっと私の口元を見ている。正解か不正解か、旅立つ前に聞いておきたいのだろう。
 時間は悲しい位に早々と過ぎてゆく。
 私は嗚咽まじりの声で窓越しにゆっくりと話しかけた。ゆっくりと、口の動きが彼女からも分かるように。


「うん。月が綺麗だね」


 私の言葉を理解した千早ちゃんは、満足そうな顔(みたいに見えた)をしてゆっくりと頷いた。

 脱出口が開かれると同時に、千早ちゃんは宇宙船の外に飛び出した。
 恒星の光、宇宙船のハザードランプ、様々な光がひずんだ重力でマーブル状になって彼女の身体を照らし出す。
 彼女自慢の硬質の外装部は、重力のひずみに屈することなく無重力の海に浮かんでいた。


  とても幻想的な風景だった


 千早ちゃんは宇宙船の外付けブースターを起動させる。ごぅんとイオンエンジンが稼働したのが分かった。
 それと同時に彼女と宇宙船をつなぐカーボンケーブルが焼失したのを理解した。

 どんどん遠ざかって行く千早ちゃんの姿。
 遭難時発見用の青いFEDランプの光が彼女の目に装備されたゴーグルから点滅しているのを、私はただぼうっと眺めていた。
 彼女と再会できるのはいつだろう。ふいに彼女とよく歌っていた曲が口からこぼれ落ちた。

 

    Moon River wider than a mile,
    I'm crossing you in style, someday . 
    Old dream maker, 
    You heart breaker, 
    Wherever you're going, 
    I'm going your way.  

    Two drifters off to see the world,
    There's such a lot of world to see.
    We're after the same rainbow's end,
    Waiting round the bend.
    My Huckleberry friend,
    Moon River and me.



 
 思い出の中の彼女の声と一緒に私は歌を歌った。
 何度も、何度も、何度も
 彼女の声が頭の中から消えてしまうのが怖くて、ずっとずっと歌っていた。


 歌うのに疲れて床に倒れ込んだ時には、もう既にアラームの音は消えていた。


 「千早ちゃんのバカ、大好きだよ」


 
 赤ちゃん銀河はとても美しい銀河だったことを今でも覚えている。



  ◆ ◆ ◆ ◆ ◆



 
 そのプロジェクトは無事完了し、現在私は自分の星へ向かって帰還している途中だ。
 私は今日も無線をとり、彼女へ向けてメッセージを送っている。



    ハロー ハロー 聞こえますか  私はここにいます


    ハロー ハロー 聞こえますか  私はここにいます














とりあえずここらへんで勘弁して下さい\(^о^)/


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