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実はこっそり書いちゃったんだぜ

2010年01月15日 20:45

こんばんわ、小六です。
1時間SSという名の30分SSを書いていました。というわけでぽいっとな。

お題は「夜」

【追記】 な、なんと、ラディカルエクセレントグッドスピード持ちで有名な晴嵐改様より挿絵を頂きました!
      イラストはSS中に挿絵として使用させて頂いております。本当にありがとうございます!

以下、SSとなります。
   
 窓の下の夜景をぼんやりと眺めていると、携帯が鳴った。懐かしい着信メロディ。
 最近どうしてだか頭痛が酷い。こめかみを押さえながら私は携帯に出た。

「もしもし?」
「あ、千早さん?ミキだよ。分かる?」

 海外へ旅立って3カ月。日本にいた頃の友人、もとい妹のような存在である少女の声を久し振りに聴いた。
 はぁ、と深いため息が漏れてしまう。頭の少し浅いところにじくじくと痛みを覚える。


「……美希。今何時だと思ってるの」

しばらくの沈黙の後、スピーカー越しの彼女は悪びれもせずに言った。

「えーっとね。7時だよ」
「あぁ、そういう時間ね。私のところはもう2時よ」
「うわ。千早さん夜更かししすぎ。ちゃんと寝ないとダメだよ」
「こんな時間に電話をかけてくるあなたに言われたくないわね」
「えへへ。だって電話したかったんだもん」
「……まったく」


 窓の外は相変わらず人工の光が輝き続けていて、まるで地面に星が埋め込まれているようだった。




  ――― フライヤー ―――



 話を聞けば、彼女は海外ロケのため、一時期私がいる国に渡るということだ。そんなこんなで、美希は自分より土地に詳しい私に名所や美味しい食べ物について、事前に知りたくて電話をしたらしい。


  海外と分かっているのなら、時差があること位は知っていていいはずだけれど


 そうは思いながらも、久し振りの連絡に少しばかりの嬉しさを覚えていた私は、彼女に聞かれるままに自分なりの回答をしていった。そういえば、と。海外に来たとはいうものの、仕事ばかりでろくに遊んでいなかったことを思い出す。

「ねぇ、美希。他のみんなの調子はどう?」
「んー?いつも通りだよ?」


   春香は相変わらずこけてばっかりだし、
   真クンはいつも通り女の子にキャーキャー言われてるし、
   雪歩はそれを見てあわあわと真クンのことを気にかけてるし、
   亜美真美はそれを楽しそうにからかってて、
   律子、さんは…えーと、仲良くやってるよ
 
   あ、そうそう。そういえば小鳥さんとあずささんが最近一緒によく飲みに出かけてるよ?


   こんなかんじかな?


 のんびりとした口調で話す美希の声に、おそらく嘘偽りなんてなくて、ああ海の向こうはいつも通り平和なんだろうなぁと思った。それと同時に、何故か無性にそちらが懐かしくて、帰りたいな、なんて考えてしまう自分がいて、少し苦笑してしまう。


「あ、もしかして千早さん。さびしいの?」
「ふふ、ちょっとだけ、ね」
「だったら美希が色々話してあげるね。3カ月だけだけど、色んなことがあったんだよ」
「そう。楽しみにしてるわ」
「うん!何かお土産も持っていくね。何が良い?」

「そうね…」


 お菓子の類はあまり食べないし、お酒もあまり好みではない。流行りの音楽はこちらでチェックしているのであまり必要性もない。何がいいだろう。この渡り鳥に持ってきて欲しいもの。うぅん、としばらくの間逡巡して、私は応えた。


「手紙がいいわ。手書きで、みんなの言葉を見てみたい」
「手紙?ふぅん、いいよ。っていうかそんなの携帯のメールでいいと思うけれど」
「まぁ、そうかもしれないわね。でもそれがいいの」

 久し振りに生の声を聞いたからだろうか。みんなの生きた文字でその声を実感したいと思ったのだ。
 もらったら私も手紙を書こう。そう考えると何だかわくわくしてきた。

「千早さん、楽しそうだね」
「ええ、ちょっとだけ」
「それならよかった」

201001_17_38_e0196538_2353424.jpg


「ねぇ、千早さん」
「何?」
「今日はね。こっちではかじられた太陽が沈むんだって」
「そう」
「うん。じゃあそろそろ切るね」
「ええ」

「おやすみなさい。頭痛、治るといいね」
「……いつから気付いてたの?」
「うーん。『もしもし』位から、かな?」
「分かっているならもう少し先輩を労わりなさい」

「はーい。じゃあおやすみ、千早さん」
「えぇ、おやすみ」


 通話ボタンを切って私は再び窓を見遣る。相変わらず景色はぴかぴかと光っていて、まるで休むことを知らない。早く寝て、頭痛を直さなくてはいけない。不機嫌な顔をしていると、きっと妹分の彼女がとても心配するだろうから。

 私はそっと空を見上げて呟いた。



  おやすみなさい よい夢を




おしまい。


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