--年--月--日 --:--

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

はるちはみきSS書きました

2010年03月15日 23:41

お久し振りです。小六です。
もうすぐ春ですね。くしゃみが出てしまいます。ガッデム花粉症!!

はるちはみきSSを書いてみました。
今回はサカナクションのセントレイという曲がモチーフのSSだったりします。
曲をモチーフに書くことが多いのですが、大体が色んな曲を混ぜ込んで作っているので、
ある意味実験作ということになるのかもしれません。

というわけで、以下SSとなります。意味不明注意です。
 
 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――




         夢を見るんです

        ステージで歌う夢

      知らないけれど 知っているんです



        1   2   3


 道路には車がひっきりなしに動いている。電車の中、私は窓に視線を移し、変わらない風景を見つめた。
 夜の帳に街のネオンが流れている。まるで天の川にいるみたいだ。

   未だ連絡が来ることのない私の携帯

 私は上着を着込んで、イヤフォンで耳を塞ぎ込んだ。
 電車の照明がだんだんと消えてゆく。ここはとても寂しい場所。星めぐりの終点。
 だから私は、銀河の三角標から消える流星をただ見送ることにしている

 私は知っている。こういうときにどうすればいいのか。ぼんやりと光の海を眺めた。


       124 125 126

    
     自分が叶えたい夢の分だけ、星を数えるの
     暗闇の中に浮かぶ星と星をつなげて、夢を縁取るんだ


       271 272 273


 窓の外には月がぽつんと浮かんでいる。ベッドの上、私は身体を動かし、壁に映った光を見た。
 壁にはコンポの液晶の青い光が揺れている。まるで海の底にいるようだ。

  ヘッドフォンを突き抜ける両親の罵声

 私はリモコンを操作して、コンポの音を最大音量に上げた。
 水面の揺れがゆっくりと収まってゆく。ここはとても静かな場所。深い深い海の底。 
 だから私は、海の底から水が揺れる様子をただ眺めることにしている。

 私は知っている。こういうときにどうすればいいのか。ゆっくりと光の点を数えた。


       735 736 737 


     いつも空が晴れているわけじゃないわ
     あはは。厳しいね
     夢なんてそんなものよ。…それで、曇っていたらどうするの?


       738 739 740 


 水たまりには街の光が映り込んでいる。雑踏の中、私は傘を閉じて、雨上がりの空を見上げた。
 空には分厚い雲がずんぐりと広がっている。まるで牢の中にいるようだ。

  もう聞き飽きてしまった街の景色

 私はブーツを脱ぎ捨てて、目の前の水たまりに飛び込んだ。
 単調な景色がばしゃんと跳ね上がる。ここはとてもつまらない場所。不自由な空間。
 だから私は、牢の奥から見えることのない光をただ待つことにしている。

 私は知っている。こういうときにどうすればいいのか。きっと光の先を睨んだ。



       997 998 999


     星はいつでも空にいるよ。想像するの。
     頭の中いっぱいに広がる星を数えるんだ
     それでね、千まで数えることができたら ――――


 私は知っている。こういうときにどうすればいいのか。そっと瞳を閉じた。



          1000



  ―――― サウザンドスポット ――――




 瞳を開いて見えたのは、ざわざわとした暗闇。静かな熱を感じる。
 あぁそうだ。ここは夢だ。私が思い描いた夢のスペースだ。
 近くに親しい人の気配を感じた。私はその人の名前を知っている。

「……春香」
「また会えたね」

 名前を呼ぶと、春香は嬉しそうな声色で応えた。まるで今日という日が来るのを待ち望んでいるかのような表情。
 いつの間にか服が寝間着からステージ衣装に変わっている。驚くことはなかった。
 彼女と一緒にいるときの夢はいつだってステージの上で、私はきらびやかな衣装を着て歌っているから。
 今までの経験からすると、おおかたライブが始まる前というところだろう。暗闇の奥からは人の声が微かに聞こえる。

「そうすると、また色々あったんだね」
「あなたこそ」
「あはは。また落ちちゃった」

 夢の中で春香と話す機会が多くなった。他愛もない世間話から、それこそ他人には話さないような話まで。
 春香は私の悩みを知っているし、私は春香の悩みを知っている。
 
「いつかは本当のステージに立ってみたいから」

 諦めたくないの、春香は呟いた。
 どんなに世間に拒絶されても、夢を諦めることのない彼女が時々羨ましくなる。
 暗闇の中でぼんやりとしか見えない彼女の顔は、どこか輝いているように見えた。
 
「夢の中ならもうちょっと上手く歌えてもいいのに…こういうところはあっちと変わらないんだよね…」
「とりあえず歌云々よりも、そのよくコケる癖を直した方がいいと思うんだけど」
「さいですか」

 私の言葉を受けて、春香は大きく肩を落とす。

 本当に不思議な夢だ。まるで現実離れした場所にいるのに、私達は私達のままでここにいる。
 夢の中でしか会えない彼女は私が知らない道を歩いていて、私も彼女が知らない道を歩いていて、少しずつ成長している。

 いうなればここは特異点なのだ。時も場所も状況すらものみこんで、交差することのない光がねじれて絡み合う世界。
 まるで宇宙の中にいるようなこの世界が私は好きだ。

 闇に潜んだ声が少しずつ熱を高めてゆく。私は深く息を吸い込んだ。
 
「春香」
「うん」

 最近はあまり春香と会話をしなくなった。する必要がなくなったと言った方がいいのかもしれない。
 声を聞けば何を考えているのか分かる。動きを見ればどうしたいのか分かる。
 私はそれに歌で応える。春香はそれを笑顔で受け止める。
 知らないけれど、知っているのだ。
 
 ステージの幕が開く。
 視界の先に広がったのは、宝石を散りばめたような鮮やかな光の世界。



  ◆ ◆ ◆ ◆ ◆



 スモークの中、ムービングライトが舞い乱れる。舞台の光すらこのステージを待ち望んでいるかのようだった。
 私はステージの下、スモークから現れる人影を見つめている。同じような夢を見たのはつい最近だ。

 来る日も来る日も同じことばかりで、砂を食んでいるようなつまらない日々。つまらない、本当につまらない。
 できることならもう一度あのステージを見たい。そう願った。
 願って瞳を閉じたら、気付けばここにいた。本当に変な夢、だけど面白い世界。

 わん・つー・たーん。そこでポーズ。

 ステージには前と同じ二人が様々な光を浴びて歌い踊っている。
 歌っているだけなのに、その視線の先を想像すると、まるで二人が楽しくおしゃべりしているように見えた。
 音が波打って、光がうねり狂う。耳が、身体が、心が震える。背筋を貫く気持ちよさに眩暈を起こしそうになる。
 こんなふうに世界を変えることができたら、どんなに楽しいだろう。

 二人の歌を聴くと、自然と詩が口からこぼれ出てくる。二人のステップを見ると、自然と足がリズムをとっている。
 ふいにステージの上の二人と目が逢った。観客によくある勘違いと言われるかもかもしれない。だけど確かに目が逢ったのだ。


    嗚呼 嗚呼

    私もこのステージで世界を変えてみたい



 二人は私を見て笑った。

 瞬間、私の世界が二人の世界にワープした。時間も場所も感情すらも、超光速で重なってゆく。そのまぶしさに目がくらむ。
 まぶしさにようやく身体が慣れてきた頃、私はゆっくりと目を開いた。視線の先には、さっきまで私がいた観客席が見える。
 ここはステージだ。そう思って隣を見ると、私と同じ高さで二人が立っていた。

「春香…千早さん…」

 知らず知らずのうちに私は二人の名前を呼んだ。二人は笑って頷いた。
 会ったこともないのに二人の名前が分かるなんておかしいと思う。だけど、分かるのだ。
 いつのまにか服が私好みの衣装に変わっていることに気付く。だけど、全然不思議じゃない。

 ここはそういう世界なのだ。私は知っている。

「美希、踊れる?」 春香は私に尋ねた。
「美希、歌える?」 千早さんは私に尋ねた。
「この世界を変えれる自信がある?」 二人は私に尋ねた。

 間奏が終わる。
 特大スピーカーがびりびりと空気を震わせる、足元のスモークが音の波に吹き飛ばされる。私は大きく息を吸った。

「もちろんなの!!」 私は二人に、そしてステージに向かって叫んだ。 

 初めて見た踊りなのに、次の動きが分かる。私は心のままに足を乗せた。
 初めて聞いた歌なのに、次の言葉が分かる。私は心のままに歌を歌った。
 初めて立った舞台なのに、何をすればいいか分かる。私は知っているのだ。

 私は春香で、私は千早さんで。春香は私で、千早さんは私で。私は私なのだ。


     知らないけれど、知っているのだ
 

 ステージが揺れる。観客の声が押し寄せる。今この瞬間、世界はリアルタイムで変わっているのだ。私が変えているのだ。
 味わったことのない歓喜が私を突き上げる。衝動のまま声を張り上げた。


     揺らせ 揺らせ 世界はこんなにも美しい!!
  

 もうすぐ曲が終わる。私はそれを知っている。
 もうすぐこのステージが終わる。私はそれを知っている。

 もっと、もっと。全然足りない。もっとこのステージの上で世界を変えていきたい。
 イヤだ、イヤだ。終わらせたくない。もっとこの三人でこの感情を震わせていたい。
 初めて知った快感の終わりを知っているから、余計に苦しくなってしまう。煙が喉につっかえる。

「大丈夫だよ、美希」 私は春香で、春香は私。春香がそう私に話しかけた。
「会いたいと思えば、いつでも会えるわ」 私は千早さんで、千早さんは私。千早さんがそう私に笑いかけた。
「ここは夢だよ?二人とも知ってるでしょ?」 私は泣きそうになりながら尋ねた。

 私の言葉を受けて、二人はこう答えた。


   『 知らなくても、知っているでしょ? 』


 その言葉を最後に、ステージは煙とともに消えていった。









「………い!!……しい!!…星井!!」
「は、はいなの!!」

 急に聞き慣れた声がして、私は目を覚ました。
 椅子から立ち上がると、先生が困った顔をしていて、見慣れた友達が私を見て苦笑していた。
 ああそうだ、ここは教室だ。

「まったく…じゃあ教科書の75頁、6行目から読んで」
「はーい」

 ここは教室で、現実で、さっきまで見ていた世界とは別の世界だ。私が普段いる普通の世界。
 いつもならここでうんざりしてしまうのだけれど、今回に限ってそんなことはなかった。
 だって、私は知っている。あの世界に行く方法を。


    『 自分が叶えたい夢の分だけ、星を数えるの
      暗闇の中に浮かぶ星と星をつなげて、夢を縁取るんだ 』


 窓の外には真昼間なのに月が浮かんでいた。







         夢を見るんです

        ステージで歌う夢

      知らないけれど 知っているんです












もう何が何だか分からないよね!!俺得!!俺得なのさ!!\(^о^)/


コメント

  1. 微熱体温 | URL | -

    人が夢をみると書いて儚いと言うわけで

    世界を変革するパワーは、いつの時代も少女たちの夢で出来ている。
    色のない世界に色彩を。光のない世界に太陽を。音のない世界に歌声を。

    構造的な美しさと表現的な美しさが、ぎゅっと詰まった素敵な一品ですね!
    瑞々しいテキストの端々に垣間見える儚さが印象的でした。
    この作品に出会えたことに、感謝を。

  2. 小六 | URL | -

    コメントありがとうございます!

    ≫微熱体温様
     こんな拙文にコメントをして下さったこと、本当にうれしく思います。


    >人が夢をみると書いて儚いと言うわけで

     散る桜、過ぎゆく時、人の夢。儚いからこそ愛でることができる一瞬の美しさに狂った俺得な文章でした。 『儚い』という言葉はとても大好きな言葉だったりします。


    >世界を変革するパワーは、いつの時代も少女たちの夢で出来ている。
    >色のない世界に色彩を。光のない世界に太陽を。音のない世界に歌声を。

     『思春期の少女ほど少年の心を持っている。ナイフのように鮮やかで鋭い心』僕の大好きな二次創作作家の方がおっしゃった言葉です。
     だから僕のSSに出てくるアイドルはどこかしら少年っぽい感じが多々あります。もしかするとこの言葉に影響されているのかもしれません。
     周囲の空気の変化を敏感に察知し、色鮮やかな声で世界に叫ぶ少女達。この年齢だからこそ可能なアクション。そんな憧れを彼女達に抱いています。
     自由な色で描いてみよう。必ず見える、新しい世界! 今回は自由すぎたかもしれませんがww


    >構造的な美しさと表現的な美しさが、ぎゅっと詰まった素敵な一品ですね!

     何と言いますか散文詩調のSSになってしまいました。どうみても厨二病が再発したようです。本当に(ry
     三人がステージに合流するまでの過程をどうやって圧縮して書こうかと思っていたらこうなりました。韻を踏むのは難しいですね。
     今回のSSでの表現のモチーフが宇宙であっただけに、びっくりする位俺得な表現になってしまったことをお許し下さい。最近よく指摘されることなのですが、表現の硬さを何とかして克服していきたいですね。絵本調のものにも挑戦していきたいです。


    >瑞々しいテキストの端々に垣間見える儚さが印象的でした。

     そうですね。『夢の共有』というのをテーマに書いていたのですが、書いている最中はずっと『邯鄲の夢』を考えていた気がします。
     こういうちょっとした思考にも文章が影響するんだなぁ…としみじみ感じております。奥が深いです。
     

     お読み頂きありがとうございました!
     そしてリンクありがとうございます!まだまだひよっこの青二才ですが、これからもよろしくお願い致します!

コメントの投稿

(コメント編集・削除に必要)
(管理者にだけ表示を許可する)

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://show6time.blog129.fc2.com/tb.php/52-8d8d174d
この記事へのトラックバック



上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。