1時間SS書きました

2010年03月27日 03:20

超遅刻です。本当に申し訳ございませんでした。だけど1時間では書いたんですよ!

お題:「食卓」「氷」「動物」「プライド」
今回は「食卓」を使用させて頂きました。

以下、SSとなります。




 少し肌寒さを感じて、私はぼんやりと目を覚ました。隣には大好きな人がすぅすぅと寝息を立てている。
 いつもの真面目な感じなのに、寝ているときはこんな顔するんだ。そんなちょっとしたことに、私は舞い上がってしまう。
 こんなにやけた顔をしていると、怒られてしまいそう。だけど、にやにやが抑えられない。
 隣に眠る人に向かって、私はひっそりとささやいた。


       だいすきだよ、千早ちゃん



  ―――― 黒毛牛上塩タン765円 ――――




 <いくら愛しているといっても、たまには口に出して言わないと、相手はあなたから離れてしまいますよ>

 なん…ですと…?
 今日は休日。私はのんびりとパジャマ姿で朝食をとりながら、テレビを見ていた。
 せっかくの休日だし、千早ちゃんと楽しくお話しようかな、ショッピングもいいな。そんなことを考えていたお昼前。
 たまたま聞こえたコメンテーターの言葉を聞くや否や、私は千早ちゃんに電話をかけた。
 3回目のコール音の後、携帯越しに聞こえる千早ちゃんの声。たまに聞こえるノイズからすると、どうやら駅のホームらしい。

「もしもし」
「あ、千早ちゃん?」
「春香?」
「あのね、そのね、えーっとね」
「電話してきたのなら用件を早くいいなさい」
「…はい」


 2時間後、私は千早ちゃんと一緒に昼食を食べることになった。感謝すべきは駅前のファーストフード店。

「それで、一体何の用?」
「ふぉれふぁね」
「食べてから話しなさい」
「ふぁい」

 コーヒーを飲む千早ちゃんを横目に、私はいそいで口の物をごくりと食べきった。
 そんな私の姿を見て、千早ちゃんは呆れたようにため息をつく。
 これはいけない。こんな情けない姿を見せてしまっては、百年の恋も冷めてしまう。
 まぁ実際は3ヶ月の恋であり、冷めるのは千早ちゃんのコーヒーである。そんなことはともかく。

「千早ちゃん」
「きゅ、急にあらたまって何よ」

 2回深呼吸。言葉を心の中で繰り返して、イメージトレーニングはばっちりだ。


「世界で一番、宇宙で一番、千早ちゃんのことを愛してるよ!!」 
 ぶはっ!!

 心の限り、あらん限りの大きさで私は千早ちゃんに愛を叫んだ。

 春香…そこまで私のこと、愛してくれているのね
 あたりまえだよ千早ちゃん。千早ちゃんのためなら私は何だって出来ちゃうんだから
 春香…
 千早ちゃん…

 自然と近付く唇。そのまま私達は…

「帰るわ」

 そう、私達は帰ったのだ。
 …っておかしい!なにかおかしい!これからいいところだったのに!

「ちょっと待って千早ちゃん!これから熱いヴェーゼが私達を待ってるんだよ!」
「主にあなたの頭の中でね」
「イメージトレーニングは大切だって、小鳥さんも言ってた…おうふっ!」

 痛烈なデコピンを頂きました。真っ赤になっていた千早ちゃんはかわいかったです。
 ちなみに千早ちゃんはコーヒーのお代わりを頼みました。お代は私持ちです。
 
「いたい…」
「私は周りの視線が痛かったわ」
「うぅ…ごめんなさい」
「よろしい」

 そう言って千早ちゃんは笑った。ああもう、それだけで私の痛みはどこかに吹っ飛んでしまうのです。
 千早ちゃんが何か買い物をするとのことで、私もそれに付き合うことにした。
 それにしても、千早ちゃんが行くお店って…なんだかブルジョア。セレブ。ハイソサエティ。
 ぶらぶらと歩きながらショーウィンドウを眺めていると、不意に千早ちゃんが私の手を握った。

「どうしたの、千早ちゃん?」
「ええとね、はるか」

 ぎゅっと握りしめられる。私より低めの千早ちゃんの体温が、少し熱くなる。

「今夜、一緒に、どう?」
「優しくするからね!!」

 二度目のデコピンを頂きました。おでこの痛みは心の痛みです。

「今夜、一緒に、食事でも、どう?」
「よろこんでご一緒させて頂きます…」

 そんなこんなで千早ちゃん宅。駅から徒歩5分、2LDK、有名アイドルは格が違った。
 さすがに一人で食べきれないから。そう言って千早ちゃんは芸能人の方からもらったというケーキを見せた。
 先生、私このケーキのブランド知ってます。百貨店でよく見るおいしそうなケーキ屋さんです。
 軽めの食事を済ませた後、私は千早ちゃんとケーキを食べました。ブルジョアなお味でした。

「そういえば、どうしてあんなところで『大好き』なんて叫んだの?」
「『大好き』じゃないよ、『愛してる』だよ。アイ・ラブ・ユー」

 三度目のデコピンはありませんでした。代わりに千早ちゃんは頭を抱えました。
 はああ、と一際大きなため息をついて、千早ちゃんはテーブルのコーヒーを飲み干した。
 私といえばのんびりとテレビを見ています。主に千早ちゃんの映っている番組です。あ、みえた。

「もしかして、嬉しくなかった?」
「嬉しいわよ、ただ」
「ただ?」
 
 私はテレビを消して、千早ちゃんの方を見た。千早ちゃんの苦悶の声だけが部屋に響く。

「そういうことは、二人っきりのときに言ってほしいわ」
「えへへ」
「もう……にやにやしないで」


 そして現在。千早ちゃんは私の隣で眠っている。何があったかはお察し下さい。
 軽く開いた唇からは、静かに息が漏れている。きれいな髪の毛。とてもきれい。
 今この瞬間、千早ちゃんを見られるのは私だけなのだ。そんなちっぽけな独占欲に満足して、私は思わず口元が緩む。
 
 だいすきだよ、ちはやちゃん

 そうもう一度つぶやいて、私は千早ちゃんにキスをしようとした。

「ちがうでしょ」

 どうやら千早ちゃんは起きていたらしい。この私の愛の囁きをですね、眠りながら聞いていたわけですね。
 虚を突かれた私の顔に、千早ちゃんは両手を絡める。

「時と場所を考えて」

 静かにささやかれる言葉。今の私はどうしようもない位にやけているのだろう。誰にも見せたくない。
 私はぎゅっと千早ちゃんの腰に手を回した。

「愛してるよ、千早ちゃん」






 おしまい


コメント

  1. 微熱体温 | URL | -

    これはよいはるちは!

    世間では全く知られていませんし、今後も知られないですが、私ははるちは正義論者です(キリッ
    愛あらん限り突っ走る春香さんに、困惑しつつもその愛を受け入れる千早さんの闊達なキャッキャウフフが
    もうなんと言ったら良いのか、正直、たまりません(ぉ

  2. ガルシアP | URL | MhlNZB0o

    いかんなぁ。

    相当ニヤニヤしながら読んでしまった気がします。

    2人の魅力をとてもまっとうに押し出した感じで、
    ああ、もう。
    書き方次第でセクシュアルになるシチュエーションを、
    こうまでバッサリと爽やかに描くのは、とても素敵な事です。
    筆致と描写で幅を作れるのは、書き手として、羨ましい技ですね。

  3. 小六 | URL | -

    コメントありがとうございます!

    コメントありがとうございます!小六です。
    皆様のコメントを読む前には必ず三拝四礼五跪しております。

    ≫微熱体温様

    >世間では全く知られていませんし、今後も知られないですが、私ははるちは正義論者です(キリッ

     はるちはは正義です。はるちはの輪は次元を超える何かがあると信じてなりません。たまらんですよねw
     ちははるもいいですけど、はるちはもいいですよね!!どっちも大好きです!
     僕は春香さんと千早さんが楽しくおしゃべりしているだけでご飯10杯食べられる自信があります(キリッ


    >愛あらん限り突っ走る春香さんに、困惑しつつもその愛を受け入れる千早さんの闊達なキャッキャウフフが
     もうなんと言ったら良いのか、正直、たまりません(ぉ

     今回のSSの目標は『ラブコメを書こう!』でした。というわけで春香さんに暴走してもらいました。
     乙女乙女している春香さんも好きなのですが、こういう暴走系春香さんも大好きです。むしろ春香さんの全てが好きです。
     キャッキャウフフはたまりませんよね……イチャイチャじゃないんです、キャッキャウフフがいいんです。
     思春期の女の子がこうキラキラと輝く姿というのは、本当にたまらないです。たまらないですよね、・・・ふぅ。


    ≫ガルシアP様

    >相当ニヤニヤしながら読んでしまった気がします。
     今回のSSの目標が『ラブコメ』だったということもあり、いわゆる王道のラブコメの手法である「暴走愛」をテーマに書かせて頂きました。
     「食卓」「動物」を見て、aikoの"黒毛和牛上塩タン735円"がぱっと浮かび、よし、吐くほど甘ったるいストーリーを書いてやろうと。
     aikoの曲は椎名林檎、EGO-WRAPPIN'と同じ位にSSを書く時に参考にさせて頂いております。にやにやあまあまぶっふー。


    >2人の魅力をとてもまっとうに押し出した感じで、
     ああ、もう。

     SSを書いている際、ことあるごとに意識するのが、登場人物の何を演出するかということ。
     もっぱら性格なのですが、その人の容貌、夢、趣向、そういう要素の化学反応があってストーリーが生まれるのかな、と。
     SSを書くって料理をするのと似ている気がします。素材をどう料理するか、そこが面白みなのかもしれませんね。
     その意味で、今回のSSは素材をシンプルに活かした感じにしました。おいしい肉は塩だけで十分おいしく頂けます。
     べ、べつに時間がなかったからとかそういうことではアッー!


    >書き方次第でセクシュアルになるシチュエーションを、
    >こうまでバッサリと爽やかに描くのは、とても素敵な事です。
    >筆致と描写で幅を作れるのは、書き手として、羨ましい技ですね。

     書き出した時は、フランス書院的な感じにしてもいいかなぁ…と思っておりました。
     
     だいすきだよ、ちはやちゃん
     耳に熱く息を吹きかけると、千早ちゃんの身体が震えたのを感じた。そのままぺろりと耳朶を舐め上げる。
     微かに洩れる喘ぎに、じりりと身体の奥が熱くなる。もっと、もっと、千早ちゃんを感じていたい。
     身体も魂も何もかも、このまま快楽とともに溶けてしまえばいいのに。私達を縁取る皮膚すら憎らしく思えてしまう。
     上気した肌、にじむ汗、私は指を沿わせ、彼女を形作る全てを確かめようとした。

     みたいな!感じで!! すみません調子に乗ってしまいました。
     今回は思春期の女の子のポップなじゃれあいを書こうと思っておりましたが、こういう路線もなかなかごくり。

     どういう雰囲気を出すかは結構ウェイトを置いている気はしますね。もっぱらモチーフにする音楽で路線を決めております。
     今回はaikoの曲を使用しましたが、SSを書く時は、椎名林檎、キリンジ、Mr.children、ボカロ曲、色んな曲を参考にさせて頂いております。
     色んなテイストのSSを書けるようになって、読み手の方に飽きさせないようにしたいですね。柔軟性、大切です。


    ≫匿名希望w様

    >文章表現について

     僕の文章は基本的に一人称なのですが、今回の文章はいわゆる日記調の文章にしてみました。
     「3月27日 晴れ 今日は千早ちゃんと一緒に遊びました」 …みたいな感じですね。
     普段は客観的な主観ですが、主観的な客観といえばいいのでしょうか、観察日記みたいな感じで、少し戸惑いながら書いておりました。
     ですので、各段落が単発で成立する、結構あっさりめな雰囲気になったのかな、と自分で考えております。
     色んな文章の書き方をこつこつと身につけていきたいですね。表現の幅、広げていきたいです。


    >最近のアイマスSS界隈の流れについて

     僕がSSを書き始めたのは去年の8月の末、9月と言った方が適切かもしれません。今で7ヶ月となります。
     この期間に色んな経験をさせて頂きました。尊敬する方との合作、百合m@s108式、バトンリレー、一時間SS、一枚絵SS。
     企画を通して出会えた方、出会えたSS、出会えた経験。全てが僕にとって大切でかけがえのないものです。
     いつか、この感謝を何らかの形でお返ししたいとは常々思っているのですが、
     しがない文字屋にはSSを書くことしかできない現状にぐぎぎとハンケチを噛み締めております。

     話は変わり、個人的な感覚なのですが、今、少しずつアイマスSS界隈が変わってきているような気がします。
     たとえるなら、SS界のグローバリゼーションといった感じでしょうか?新たな要素に触れ、様々な化学反応が生まれてきているような感じです。
     読む専だった頃と比べ、この界隈の流れが活発になっているように思えます。
     色んな方達のSSを読んでいると、愛の数だけ、想いの数だけSSの数があるんだ、そんな実感があります。
     闇に目が慣れて、色んな星を見れるようになった感じ。
     その世界のどれもがキラキラと輝いていて、魅力的で、色んな国に旅行しているような感覚を覚えます。
     アイマスが好きという気持ちだけで、銀河鉄道の旅をさせてもらえる幸せといったらいいのでしょうか。

     まだ夜目が聞かない僕には、まだまだ見えていない星があると思います。その星を僕は見たいです。星がある限り。
     色んな世界を見て、色んな感動をしたいです。身体は老いてしまいますが、いつだって魂は子供のまま、夜空の星を探していけたらな、と。
     意味の分からない返答で申し訳ございません。拍手コメント、本当にありがとうございました!

  4. トリスケリオン | URL | UzUN//t6

    なんだこのバカップル

    いいぞもっとやれww

    なんというか、春香の暴走は春香さんらしいよなと思いつつ
    その暴走について怒らないでむしろ受け入れちゃう千早は
    きっと やはり ドMだから 羞恥プレイも受け入れ……いや、千早さん
    なんでもないですよー のワの


    実際、言葉にしないとわからない感情ってあるから 愛してる
    好きだよって言葉 多用したら感動も薄れるけど
    定期的に言葉に出して相手に伝えるのは大切なんだろうなぁと


    肉体的に伝えられる春香さんはもっと最高っと……

  5. coro | URL | -

    おつかれさまでした、読ませていただきました^^
    ストレートなはるちはに終始2828しっぱなしでした、これはいいなーw
    自分の想いは外に出したがる春香、想いは強いけども表にはあまり出したくない千早、どちらも愛しいですね。
    …何があったなんて想像できないのですよ、ナニがあったかなんて! ちゃんと書いてください、小六先生><
    はるちは熱が上がりそうw
    素晴らしい作品をありがとうございました!

  6. 小六 | URL | -

    コメントありがとうございます!

    コメントありがとうございます。小六です。
    QHCK(急にはるちはが来たので)、仕方なかったんです。妄想が止まりませんでした。


    ≫トリスケリオン様

    >なんだこのバカップル
    >いいぞもっとやれww

     はるちははバカップルバカップルしてりゃーいいと思います。
     本人達は普通だと言い張るでしょうがどうみてもバカップルです、本当に(ry


    >なんというか、春香の暴走は春香さんらしいよなと思いつつ
    >その暴走について怒らないでむしろ受け入れちゃう千早は
    >きっと やはり ドMだから 羞恥プレイも受け入れ……

     春香さんって、よくも悪くも自分の好意を正直に出してくる女の子だと思います。
     そういう意味では千早さんと対照的な子だなぁ、と。
     そんな春香さんだからこそ、千早さんも仕方なく許してしまうとか、そんな浪漫でした。
     千早さんはドMですから、きっと恥ずかしい思いをしながらもドキドキしちゃってるんですよ!


    >実際、言葉にしないとわからない感情ってあるから 愛してる
    >好きだよって言葉 多用したら感動も薄れるけど
    >定期的に言葉に出して相手に伝えるのは大切なんだろうなぁと

     これは僕が大好きな作家さんの創作漫画の中の一文句でして、心の中にいつもある言葉だったりします。
     世界には愛が足りないんです!とかなんとかもごもご。ストレートに愛を叫ぶって、簡単そうで難しいです。
     語らなくても伝わる愛ってのも好きですが、語って伝える愛ってのもいいものです。
     はるかさああああああん!!おいらだあああああああ!!そこにひじゃまじゅかせてくれえええええええ!!


    >肉体的に伝えられる春香さんはもっと最高っと……

     愛ですね。わかります。


    ≫coro様

    >ストレートなはるちはに終始2828しっぱなしでした、これはいいなーw

     ストレートラヴですよ!僕の作風からかなり離れた感じですが、個人的にはこういうはるちはが一番好きですw
     春香さんと千早さんはかわいらしくキャッキャウフフしていたらいいと思いますよ!!282828282828^^

    >自分の想いは外に出したがる春香、想いは強いけども表にはあまり出したくない千早、どちらも愛しいですね。
    >…何があったなんて想像できないのですよ、ナニがあったかなんて! ちゃんと書いてください、小六先生><

     春香さんはオープンスケベ、千早さんはむっつりスケベだと思います。どっちもスケベです。思春期ですから。
     同じ女の子なのにこうも性格が違うと、どうしてこういう性格になったのかとかも色々考えてみたくなるこの頃です。
     春香さんが千早さんに恋心を抱く瞬間とか、それだけでSSにしたくなってしまいますね。カワイイ!
     何があったかですか…ナニがあったんだと思いますよ(キリッ それはもうエロエロでエロエロなナニですね。鼻血が(ry


    お読み頂きありがとうございました!

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