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一枚絵で書いてみM@STER投稿SSです

2010年05月02日 00:02

お久し振りすぎですね。小六です。
一枚絵で書いてみM@STERに投稿させて頂いたSSです。

以下、SSとなります。
  
   
  
  
 扉を開けると、干し立ての布団のような懐かしい匂いがした。 
 
「どうしたの」
「すこし、眠れなくて」

 もう中学生なのに私は何を言っているんだろう。だけど、おばあちゃんは笑って私を手招きした。
 ほっと胸をなでおろす。私は枕を抱き締め、私はおばあちゃんが寝ているベッドに座った。
 のんびり揺れる壁掛け時計の振り子。箪笥の上に座るビスクドール。昔と変わることない部屋。

「何か怖いものでも見たの」
「ううん。なんとなく、眠れなくて」
「そう」

 おばあちゃんはそれ以上は問い詰めることはせず、皺だらけの手で私の頭をゆっくり撫でた。
 それだけで心に閉まいこんでいた何かがこらえ切れなくなり、涙ぐんでしまう。こんなつもりじゃなかったのに。
 それを見たおばあちゃんはおもむろに立ちあがり、本棚から小さな絵本を取り出した。日記位の大きさの古い絵本。

「お話をしてあげよう」 ぼろぼろの表紙に手をかける。
「おばあちゃんの、おばあちゃんの、おばあちゃんが作った本なんだよ」 表紙をめくる。
「かわいい女の子と、きれいな女の人のお話」

 おばあちゃんは、やさしい口調で絵本を読み始めた。





  人魚の湖畔に行きなさい
  お菓子の入った籠持って
  人魚と一緒に歌いなさい

  赤い魔女にご用心 甘いお菓子を上げなさい
  青い人魚に空の籠 甘いお菓子を食べなさい

  ケーキにクッキー 迷って黒森
  セーキにスコッチ 踊って雄鶏

  黒森だまされ迷ったら
  おんぼろ汚れた靴はいて
  人魚の歌を歌いなさい




     空飛ぶ魚






 うっそうとした森を抜けると、そこは別世界でした。

 私を連れてきたおじさんは「じゃあ、ここでお別れだ」と言い、もと来た道を馬車で帰っていきました。
 湖のほとりでぽつんと一人。どうすることもできなくて、私はかごの中にあるお菓子を手に取った。
 オレンジのマドレーヌ。私の大好きなお菓子。お菓子作りが得意なお隣のお姉さんの自信作だそうだ。
 少し食べると甘い匂いが口の中に広がって、とても幸せ。
 この気持ちを誰かにおすそ分けしたくて、私は近くにいたスズメさんにお菓子のかけらをあげた。
 スズメさんはおいしそうにお菓子をついばんでいる。綺麗な湖には空の青が映り込んでいた。

「こんなにきれいなところなら、友達も誘えばよかった」

 かごに入ったお菓子はお母さんと近所の人の手作りだ。お腹が空いたときにでも食べなさいと渡された。

 『大切なお使い』だとお母さんは言った。やまぶどうのツルで作ったかごを、湖に住んでいる女の人に渡すのだそうだ。
 藤のツルで作った高いかごならともかく、どうしてやまぶどうのかごなんて欲しいんだろう。
 お母さんも近所の人もお隣のお姉さんも、私を見送るとき、とても申し訳なさそうな顔をしていた。
 どうしてなのかは分からない。水汲みや牛の世話に比べれば、とっても簡単なお仕事なのに。ビワのお茶を一口飲んだ。

 何はともあれ、こんなにたくさんお菓子を食べれるなんてめったにない。帰ったら友達に自慢してやろう。
 そんなことを考えながらお菓子を食べていると、右手の方、ガレキがたくさんある場所から歌が聞こえた。


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 ふわり西風にのって音を辿っていくと、歌をそのまま人にしたみたいな人を見つけた。
 きれいな女の人。だけど悲しそう。大きな船のガレキに座るその人は、ぼうっと湖の底を見つめている。
 
「もしかして、かごが欲しい人ですか?」

 私の声に気付いた女の人は、驚いた顔をして私の方を振り向いた。
 西風がぴたりと止み、水面が鏡のように静かになった。

「私のことですか?」

 3時のおやつの少しあと。雲がニジマス色に染まる頃でした。



   ◆ ◆ ◆ ◆ ◆



「この子、食べられちゃうんでしょ」
「食べられたらお話が続かないのに?」

 大して明るくもないランプの下、私は布団をかぶりながら絵本の挿絵を眺めた。
 今にも影に溶けてしまいそうな絵本の挿絵。ちくたくちくたく時計は動く。

「大人って嫌い。大切なことは何も教えてくれない」
「何かあったの?」
「……何もないよ」
 
 おばあちゃんの方を見ると自分の隠していることが全て見つけられてしまいそうで、私はぷいと視線を逸らした。
 隣からおばあちゃんが笑う声が聞こえる。だけど、私に聞こうとしない。私から話すのを待っているのだ。
 なんだか悔しくなって、私は絵本の絵を睨みつけた。

 明るい空におんぼろ船が一隻。『お使い』をする女の子と湖で歌う女の人。
 それにしてもよく似ている。まるで自分が絵本の中に入り込んでいるみたいだ。
 おばあちゃんのおばあちゃんのおばあちゃんが作った本なのだから、当たり前なのかもしれないけど。

 しばらくすると、おばあちゃんは絵本のページをめくった。

「じゃあ、この子がどうなったか、続きを読みましょう」



   ◆ ◆ ◆ ◆ ◆



 その女の人は自分の名前を忘れていました。

「ここには人が来ないし、名前を呼ばれることもなかったから」
 
 さすがに『女の人』は悪いと思って『お姉さん』と呼ぶと、お姉さんは「素敵な名前ね」と嬉しそうに笑った。
 私は崩れた桟橋に座ってお話をした。住んでいる村のこと、お母さんとお父さんのこと、友達のこと。
 お姉さんには足が一つしかなかった。どうしてと尋ねると、「本当、どうしてかしら」と首をかしげていた。不思議な人だった。
 子供と話すのは久し振りだからなのだろう、返す言葉は少なかった。だけど、私の話をきちんと聞いてくれた。
 まるで本当のお姉さんみたいで、クッキーを食べながら色んなことをお姉さんとおしゃべりした。

「そういえばお姉さんは歌が上手ですよね」
「歌? ……ああ、さっきの」

 お姉さんは歌というものを覚えていませんでした。
 風に合わせて独り言を言っていただけだとお姉さんは言いました。

「あの。よかったら、ですけど、もう一度歌ってくれませんか?」
「風が吹かないと歌えないけれど」
「うぅー。風さーん。ふけー、ふけー」

 雨乞いをするみたいに手を合わせ、私は空にお祈りをした。風さん風さんもう一度。風さん風さんお願いします。
 だけど私みたいな子供のわがままに、風さんが言うことを聞いてくれるわけはなく。水面はないだまま。
 ああ聞きたかったのに。私はがっくりとうなだれる。そんな私を見かねたのか、お姉さんは目を閉じて静かに息を吐いた。
 お姉さんが息を吐いてから少しすると、東の山から風が吹いた。びっくりした。まるで魔法使いみたい。

「それじゃあ、名前をくれたお礼に一つ」  

 お姉さんはひゅるりと吹き抜ける東風に合わせ、声を出した。
 せいたかのっぽのアワダチソウが指揮を振り、足元のヨモギがゆっくり揺れる。


 とてもきれいで、とてもかなしい、あおいとりのうた

 
 かごと、甘さと、紅と蒼。
 思い出したのは、村で歌った言い伝え。
 私の村に王様がいた頃からの言い伝え。
 赤い魔女と青い人魚のわらべうた。

 きれいな歌声は東風にのって、どこまでも飛んでゆきそうだった。



    ◆ ◆ ◆ ◆ ◆



 おばあちゃんは絵本に挟んであった紙切れをとり、その歌を歌った。
 とても悲しい、だけどそのことを忘れてしまう位に美しい歌だった。
 窓の外、どこかの樹の下でふくろうが鳴いている。
 おばあちゃんの家のふくろう。ほうほう。0時に必ず鳴くふくろう。

「人魚はずっと待ってるんだ」
「そう、ずっと待ってる」

 きっと待っている人は湖の中にいて、もう帰ってこないと知っていて、それでもずっと待ち続けている人魚。
 足を失っても、名前を忘れても、その人のことだけは忘れられないんだ。
 いや、忘れないように歌ってたんだ。

 本当は水の中で眠りたいのに、陸の上でずっと歌い続けて、時間に思い出をさらわれないようにしていたんだ。

 いったい何年もの間、この人魚は歌い続けていたんだろう。名前を忘れる位に長い年月。
 お母さんもお父さんもいつか、私のことを忘れてしまうのだろうか。
 私もいつか、あの子のことを忘れてしまうのだろうか。

 そんなことを考えていると急に怖くなってきて、私はおばあちゃんの寝ている布団にもぐり込んだ。

「おばあちゃん」
「なぁに」
「人魚はそれでよかったの?」

 くたびれたパジャマをきゅっと握り締める。
 そんな見たおばあちゃんは、しわくちゃの顔を緩ませて私にささやいた。

「じゃあ、最後まで読んでみましょうか」



    ◆ ◆ ◆ ◆ ◆



 お姉さんの歌を聞いていると、何故か安心して眠くなってきてしまった。
 あたたかい空気、草のやさしい匂い、さらさらと波の音。まぶたがだんだん重くなる。
 
「そこの小屋で休むといいわ」

 ぼんやりとお姉さんの声が聞こえます。私はその言葉に誘われるように小屋に入った。
 中にあった薪をキルトでつつんで枕にし、そのまま私は眠りに落ちる。深く深く沈む。
 小屋の外からは、ぎぃぎぃとオンボロ船が波に揺れる音が聞こえた。







 雷鳴。


 お城の大砲のような音がして目を覚ますと、外は真っ暗になっていて、大雨が降っていた。
 ばたばたばた! 屋根の上で雨粒の兵隊が足踏みをしていた。私は怖くなって耳を塞いだ。
 黒い雲に気味の悪い光が走る。大砲でお城が崩れるような音。きっともうすぐ空が落ちてくるんだ。こわい。
 お姉さんはどうなったのだろう。ひざがふるえてうまく歩けない。おそるおそる窓に近づき、外を覗いた。

 お姉さんは泣いていた。

 三つ首狼みたいに北風が大きく唸っていた。荒れる大波、オンボロ船が今にも沈みそうにかしいでいた。
 暗闇の中、マストの先についた炎がろうそくみたいだった。その光の影、お姉さんは顔を覆って泣いていた。
 お姉さんは何かにとり付かれたみたいに同じ言葉を呟いていた。何度も、何度も、何度も繰り返される名前。
 とても悲しいのに、とても苦しそうなのに、すすり泣く声はきれいな歌に聞こえた。


 どうしてお姉さんがその人を知ってるの?


 すぐ外に出てお姉さんを助けたいと思ったけれど、どうしてだか扉を開けられない。
 もう一度雷が鳴った。ほんの一瞬、湖が光に包まれる。
 見間違いだったのかもしれない。お姉さんの背中に翼が生えていたような気がした。


 悪魔のような雨と風は朝まで続いた。


 
 ようやく空が落ち着きを取り戻した頃、私は小屋の外に出て、お姉さんの姿を探した。
 お姉さんは昨日と同じ場所、ガレキの椅子に座って湖の底を眺めていた。
 私の気配に気付いたのか、お姉さんは古木のガレキをきしませて私の方を見る。

「よく眠れた?」
「あまり眠れませんでした」
「ひどい雨だったものね」

 お姉さんは私にやさしく微笑み返した後、ふたたび湖の底に目を移した。
 あの雨の中、お姉さんはずっとこの場所で座っていたのだろうか。胸の奥がきゅっと締めつけられる。

「お姉さん」
「なぁに」
「赤い人魚は、ここにはいません」

 その言葉を聞いた瞬間、お姉さんは目を大きく開いて私を見た。
 唇が震えていた。言葉が出てこないようだった。
 生温い南風。ざわざわと森の木々が話している声が聞こえる。

「何の話か分からな」
「その人はここには来れないんです」

 昨日の夜にお姉さんが呟いていた人は、わらべうたを作った人だった。お菓子作りが得意なお隣のお姉さん。
 不思議な人で、手の動きだけで村の人とお話ができる人だった。きっと魔法で言葉を届けてるんだと思う。
 私が生まれるずっとずっと前からその人は生きているけれど、その人はずっとずっとお姉さんのままだった。

 だからかもしれないけど、その人は兵隊さんからよく魔女と言われていた。
 とても悲しそうだった。とってもとってもいい人なのに、どうして大人の人はお姉さんをいじめるんだろう。

 私の家は貧乏だったから、お姉さんに色んなことを教えてもらった。色んなお話を教えてもらった。
 私がお使いに行くことと決まったとき、お姉さんは私にお菓子とぼろぼろの日記帳をくれた。
 どうして?とお姉さんに聞くと、『わたしはいけないから』とお母さんに小声で教えてもらった。

「その人はきっと待ってます。なんとなく、ですけど」
「どこにいるのか、知ってるのね」

 私が頷くと、お姉さんはしばらく悩んでから、背中から白い翼をはためかせた。
 その翼はとても大きくて、太陽の光を受けてきらきら光っていた。まるで天使みたいだ。

「怖がらないのね」
「どうして怖がらないといけないんですか?」
「………ありがとう」

 はにかむお姉さんはとても幸せそうだった。何だか私までうれしくなって、えへへと笑った。
 たなびく髪。南風がやさしく吹いて、お姉さんはガレキの椅子からひらりと私のところに飛びよった。
 やっぱりお姉さんは人魚さんっていうよりも、鳥さんっぽい。青い鳥のお姉さんだ。
 私がそう言うと、お姉さんは困った顔をして「そう言われるのも悪くないわね」と苦笑いした。

「はい、青い鳥のお姉さん」

 私は持っていたクッキーと日記帳をお姉さんに渡した。

「人魚のお姉さんから、青い鳥のお姉さんへ」
「クッキーとーってもおいしいんですよ!あ、日記は絶対の絶対に見てませんから!!」

 お姉さんは受け取ったクッキーを一口食べて、ぽろぽろ涙を流しました。

「ほんとうに、とっても、おいしいわね」
「お菓子作りが趣味だって言ってましたから」
「……そう」

 それからお姉さんはクッキーを食べては泣いて、また食べては泣きました。そんなにおいしかったのかな。
 そこまで喜んでくれたのなら、きっとお姉さんも喜ぶだろうな。帰ったら教えてあげなくちゃ。
 あらかたクッキーを食べ終えたお姉さんは、ありがとうありがとうと言いながら、私の手を握った。

「お菓子をくれたお礼をしてあげないとね」

 そう言って私の身体を抱き締めて、お姉さんはふわりと空の上へ舞い上がった。
 ひゅるりひゅるひゅる。風が耳元をかすり抜ける。さっきまでいた場所がどんどん小さくなってゆく。
 飛行船に乗っているみたい。こんなの生まれて初めてだ。帰ったら真っ先に友達に自慢しないと。

「あなたの家はどこ?」
「えーっと、あそこです」

 迷いの黒森のすぐ近く、ひっそりと隠れる小さな村。そこが私の住んでるところ。
 一時間位の空中散歩、私はお姉さんと色んなお話をした。お姉さんは相変わらず無口だったけど、嬉しそうだった。
 お姉さんが歌っていた歌を教えてもらって、気分がよくなっていた私はその歌を歌った。

「変わった歌い方ね」 お姉さんは苦笑いした。
「でも、そういう歌い方、嫌いじゃないわ」




    ◆ ◆ ◆ ◆ ◆



「…という話でした。めでたし、めでたし」

 最後のページをめくろうとして隣を見ると、かわいい孫が眠っている。
 ちょっと長すぎたかしら。壁掛け時計を見ると、子供が起きている時間ではなかった。
 絵本を閉じ、本をもとあった場所に戻す。しんと静まり返った部屋の中、あの子の寝息だけが聞こえる。

 棚に置いてあるビスクドールの瞳を閉じて、ベッドに戻った。小窓からひっそりと月が浮かんでいた。
 きっと嫌なことでもあったのだろう。明日になれば話してくれるかしら。寝冷えしないように布団をかけ直す。

「おやすみちーちゃん。いい夢みてね」

 部屋の明かりを消した。




    ◆ ◆ ◆ ◆ ◆




 あのときは気付かなかったけれど、やっぱり覗いていたのね。
 まぁ、そんなこといっても仕方のないことだけれど。
 他人の日記帳を自分の日記帳として使っていたのね。
 そういうことはダメだってちゃんと教えておくものよ。
 絵まで描いちゃって、よっぽどあの日の夜が怖かったのね。

 でも、とっても上手。あなたが教えたんでしょう?
 後でしっかり聞かせてもらうわ。もうすぐあなたに会えるのだから。

 色んな話をしましょう。時間はたくさんあるのだから。











   おしまい


コメント

  1. 月の輪P | URL | VFkxEMUo

    深遠なるおとぎ話です

    え~と、これは弥久なる、はるちはのサーガ? それとも、ちはやよのフェアリーティルなのでしょうか?
    すいません、まだアイマス歴11ヶ月なので、いくつかの隠喩を逃してしまっているか知れませんが、幻想的でいて奥深いSSだと思いました。
    幼いちーちゃんが垣間見た大人の世界が深くは語られていませんが、おばあちゃんのちょっぴり恐いベッドタイムストーリーを聴き、優しさに包まれ癒やされたのが微笑ましいです。

  2. 小六 | URL | -

    コメントありがとうございます!

     コメントありがとうございます!一枚絵m@sterという素晴らしい企画に参加してはや4回目、全く成長の兆しが見えませんが、それでも懲りずに書き続けております。拙文にコメントして下さり本当に本当にありがとうございます!小六です。

    ≫月の輪P様
    >え~と、これは弥久なる、はるちはのサーガ? それとも、ちはやよのフェアリーティルなのでしょうか?

     はるちはのお話であり、ちはやよのお話でもあります。千早さんのおばあちゃんと幼少期千早さんのお話でもありますね。昔話といいますか、おとぎ話を書いてみようと思って書いたSSでした。 何と言えばいいのでしょうか、読んだ後にノスタルジックな気持ちになってもらえたらなぁと思って書いておりました。


    >いくつかの隠喩を逃してしまっているか知れませんが、幻想的でいて奥深いSSだと思いました。

     素敵な評価、ありがとうございます!幻想、ファンタジー、大好きです!
     今回のSSにおける書き手としてのテーマが「あえて伏線を回収しない」でした。よく分かりませんね。僕の中には一応きちんとした物語はあるのですが、読んでいらっしゃる方に色んな想像をして頂けたらな、と。どうしてこういうよく分からない試みをするんだと問われると、そういう性格なので許して下さいとしかあばばば。
     隠喩といいますと、『お使い』でしょうか。籠は何かを入れるためにあるもの、いわゆるお皿です。そして大して高価でもない籠にはあまり意味がありません。コンビニのビニール袋でもよかったことになります。空の籠を渡すという行為は全然お使いになりません。では何故空の籠でよかったのか、『人魚』にとって見えているのは籠だけではありません。それが贈り物なのです。だから幼少期千早さんは「この子、食べられちゃう」と言っていたわけです。ちゃんとロジックを組んでいるならば、そういうロジックを書けと。すみませんでした。
     後は『人魚』ですね。人魚につきましてはwikiに詳しいことがあるのですが、僕がこのSSで使用した意味合いとしては、

    (1)人魚は初めは一本足です。そして自分の愛を叶えるために二本足になります。その時には大変な痛みを伴うそうです。これが女性にとってどういう意味を持つのかというイヤンな意味合いでした。この意味合いがそのまま現実世界の幼少期千早さんの悩みと繋がってきます。大切な子の死、そこから始まる如月家の悲劇。どうみても変態ですありがとうございました。

    (2)人魚は歌が上手で歌が大好きな少女ですが、それは人魚の時だけで、人間になったときには声を魔女に奪われております。つまり、陸の上の人魚はお話ができないはずなのです。そうした場合、『赤い魔女と青い人魚』という言い伝えが矛盾していることになります。つまり女の子が言ったように、本当は『赤い人魚と青い○○』なんですね。隣のお姉さんが使った魔法は魔法ではありません。手品を初めて見た人間がそれを魔法と思ってしまうといったロジックでしょうか。

    (3)それでは青い鳥のお姉さんは何だったのか、人魚から派生したものとして、海の航路上の岩礁から美しい歌声で航行中の人を惑わし、遭難や難破に遭わせる怪物がいます。オンボロ船がなぜあんな湖にあったのか、それがその理由です。お姉さん自体にそのつもりはないのでしょうけれど。そういう意味合いです。

    …位でしょうか。こういう伏線を叙述しなかった理由は後述させて頂こうと思います。


    >幼いちーちゃんが垣間見た大人の世界が深くは語られていませんが、おばあちゃんのちょっぴり恐いベッドタイムストーリーを聴き、優しさに包まれ癒やされたのが微笑ましいです。

     おおお!!それが書きたかったのです!!嬉しいですありがとうございます!!『西の魔女が死んだ』的な雰囲気を出そうと思った結果がこうなりましたありがとうございます/(^о^)\
     今回のSSのテーマは、「子供から見た大人の世界」でした。だからこそ、あえて真相の解明には踏み込みませんでした。不思議な思い出だったなぁ。それで終わる物語。どうみても自己満足としか言いようのないSSでしたが、そう評して頂けると本当にうれしい限りです。


    お読み頂き本当にありがとうございました!

  3. 寓話 | URL | SFo5/nok

    拝読させて頂きました

    SSも解説コメントも全て含めて、小六さんワールド!といった雰囲気でした。ただただ圧巻です。
    物語の中で、ちらり、ちらりと出てくる赤いお姉さんの存在感だけでドキドキしてしまいます。
    「全てを語らぬ」書き手さんの手の上で、ころりころりと転がされたとでも申しましょうか、
    読み終わって、やっぱり、「ほんのちょっとの不安と疑問」が不思議な余韻として残りました。
    読み終わったあとの余韻まで含めて、小六さんワールド!なのが実に素敵です。ごちそうさまでした。

  4. ガルシアP | URL | MhlNZB0o

    「それだ!」

    寓話さんの「小六さんワールド!」という表現がしっくりきました。
    「たんす」は漢字で書くけど「すずめ」はカタカナで書く、とか、
    そういう細かい事の積み重ねなんですよね。雰囲気作り。
    たまに意識はするけど、なかなか真似は出来ないです。
    改行の行数とか、色々空間的な作り方も素敵ですよね。
    ビジョンというと大げさかもしれないけど、ニュアンスまで上手く伝える方法だと思います。
    芯がしっかりしてるんだろうなぁ、と感じる事が多いですね。外から見て。
    その内、あえて120%語る作風で1本書いてみて欲しいです。

  5. 小六 | URL | -

    コメントありがとうございます!

    コメントありがとうございます。滑り込みセーフのギリギリアウトなSSに心温かいコメント、本当に感謝してもしきれません。地につけた頭が地中にのめりこみそうです。小六です。

    ≫寓話様

    >SSも解説コメントも全て含めて、小六さんワールド!といった雰囲気でした。ただただ圧巻です。

     小六ワールド…あばばそんな名前を付けて頂けるとは思いもしませんでした。畏れ多いことです。ありがとうございます。読み手に不親切な書き方をすることに定評があります。俺得浪漫を追及するとこうなってしまうという悪い例として受け取って頂ければ幸いです。


    >物語の中で、ちらり、ちらりと出てくる赤いお姉さんの存在感だけでドキドキしてしまいます。

     おそらくドラマ性を求めるのならば、赤いお姉さんと青いお姉さんの話にすればよかったのだと思います。そしておそらくそれが話のメインラインなのだと考えてもおります。ですが、今回はあえてサブラインであるやよいさん視点で語り、メインラインを色々想像して頂けたらな、そう思って書いてみました。
     メインラインを想像するための設定は色々と散りばめております。おとぎ話が生まれた時期、王様、兵隊、千早さんが人間であること。その辺りで線を繋げて頂けたら、おそらくそれが赤いお姉さんと青いお姉さんの社会的な正体が見えてくるように書いてみました。だからそういう設定はちゃんとSSの方で書けと、申し訳ございません。


    >「全てを語らぬ」書き手さんの手の上で、ころりころりと転がされたとでも申しましょうか、

     語り手のくせして語らないという不届千番な書き手です。語らないというよりも、語れないと言った方がいいのかもしれませんね。僕が語るなんかよりも、読み手の方が想像したものの方がよっぽどその人にとってしっくりくる物語のはずで、僕の能力ではその世界をまだ書ききれないみたいな、そんな感じです。
     

    >読み終わって、やっぱり、「ほんのちょっとの不安と疑問」が不思議な余韻として残りました。

     人間、特に子供のとき、自分の領域の及び知らぬ現象に何らかのショックを受けているんじゃないかなぁと考えております。未知への恐怖といえばいいのでしょうか。「マストの先についた炎」なんかはそのいい例なのかもしれませんね。大人から見ればセントエルモの火(急激な電磁変化に伴う発光現象)としてすとんと引出しに収まるのでしょうが、知らない人にとってはそれが鬼火のように見えるんじゃないのかな、と。そういう感覚が好きなのかもしれません。
     やよいさんが登場人物だということで、その「純粋さ・いい意味での無知さ」を前面に押し出そうと思って書いたSSでした。


    >読み終わったあとの余韻まで含めて、小六さんワールド!なのが実に素敵です。ごちそうさまでした。

     ICOやワンダの巨像といった雰囲気ゲーと呼ばれるものが好きだったりします。ストーリーももちろん大切なエンタメ要素なのですが、それ以上にその世界を楽しむことのできるゲームが好きです。その意味で、今回のSSは、ゲームでいう一周目という気分で楽しんでもらえたらと。このコメントはアルティマニアのような設定資料としてお読み頂いて、もう一度二周目を楽しんでもらえたら嬉しいです。こんなよく分からない試みをするからお前のSSはよく分からないと言われるんですね、分かりますw


    ≫ガルシアP様

    >寓話さんの「小六さんワールド!」という表現がしっくりきました。

     あばば、SS界のマエストロの方々にそのような評価を頂けることは本当に畏れ多いです。擬音語の多さと体言止め、あとは変な文法でしょうか。僕の文体は結構癖が強いので、分かりやすいのかもしれませんね。

    >「たんす」は漢字で書くけど「すずめ」はカタカナで書く、とか、
    >そういう細かい事の積み重ねなんですよね。雰囲気作り。
    >たまに意識はするけど、なかなか真似は出来ないです。

     箪笥は千早さんのおばあちゃんの部屋なので、スズメは絵本世界のやよいさんの世界なので、そういう表記にしております。やよいさんの箇所には植物名が色々出ておりますが、いわゆる船の部分名称をかっちり書くよりも、こういう身近にあるものでやよいさんは世界を見ているんじゃないかなという妄想の産物です。
     漢字とひらがなとカタカナと、全然言葉から出てくる雰囲気が違うんですよね。漢字はぎゅっと固まった中に、ぼやんと何かが滲み出ている感じで、ひらがなは文字通りやさしくふわふわした感じ、カタカナはパリッとまっすぐした感じがします。擬音語をよく使うので、そういうことに変に敏感になってしまうのかもしれません。だから遅筆なんですね分かります\(^о^)/


    >改行の行数とか、色々空間的な作り方も素敵ですよね。
    >ビジョンというと大げさかもしれないけど、ニュアンスまで上手く伝える方法だと思います。

     僕の文章の変なところの一つだと自覚しております。改行。
     スレ時代はテキストをアイマスロダに上げていたのですが、その中で一番目に引っ掛かったのが文章の読みにくさなんですね。あくまで僕にとって、なのですが。そこで可能な限りぱっと開いたときにそのまま読めるような幅でさくさく読んでもらおうと思って出来てきたのがこの文体だったりします。こう言っては大袈裟なのですが、文字で絵を描くみたいな、そんなイメージで文章を書いております。小説形式とはやっぱり少し毛色が違うのでしょうね。


    >芯がしっかりしてるんだろうなぁ、と感じる事が多いですね。外から見て。
    >その内、あえて120%語る作風で1本書いてみて欲しいです。

     おそらく無我夢中で書いているところがありますので、自分の精神がそのまま出ているものが多いからなのかもしれません。ふわふわと色んな見方を巡って、それにふさわしいSSが書けたらなぁと思って書いております。
     120%語る作風…それもまた面白そうですね。いい構成とストーリーが浮かんだら、試してみようと思います。割と本気で。


    お読み頂き本当にありがとうございました!

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