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ドイヒーSS書きました

2010年05月09日 23:18

お久し振りです。小六です。
自分のSSの在り方についてうーんうーんと唸った結果、そういえば僕はエロSS出身だったことを思い出しました。
ガチンコのSSを書いていたら、そのことをすっかり忘れておりました。なんということでしょう。

【追記】
 なんと!あのラディカルエクセレントエロティッククオリティドラマティックレーザージェットスピードエキサイティングノベルスターの晴嵐改様から挿絵を頂きました!お風呂から上がって鼻血が出ましたありがとうございます。
 イラストはSS中に挿絵として掲載させて頂いております。本当にいつもありがとうございます!

というわけで、以下SSとなります。
性描写が多分に含まれておりますので、それでもいいという方のみお読み下さい。
 
 
 ブラウン管越しに映る自分が楽しそうに笑っている。

 ベッドの端に座りながら雪歩はテレビを眺め、そう思った。
 隣の男はぼんやりと煙草をくゆらせ、あたかもニュース番組を見ているかのようにその一部始終を見ている。
 石鹸の匂いに混じる煙の臭い。顔をしかめることもなく雪歩は男の言葉を待つ。年代物のテレビは時折ノイズを走らせていた。

「媚びた笑いだな」

 つまらなさそうに煙を吐く。男は手に持ったリモコンで番組を変えた。
 本人を目の前にして出す言葉だろうか。雪歩は思った。それが彼の仕事であることは重々承知だけれど。
 身に纏ったガウンの袖を握り離める。薄い生地のそれが火照った上気で湿り気を帯び、それが不快になって、手の力を抜いた。
 女の嬌声と二流芸人の笑い声が深夜の時間を埋める。退屈しのぎのためだけの声。それ以上でもそれ以下でもない。

 低い電子音が三つ、跳ね上がる時報。

 男の手が雪歩の身体に伸びる。それを見た雪歩は、いなすように手を払いのけ、テレビの電源を落とした。
 ぶつりと音が途絶える。黒い画面に映る自分の顔を見て、彼女は笑った。

 所詮私は深夜番組の女。

 男は雪歩を後ろから抱き締める。無骨な指でガウンの中をまさぐられ、彼女は吐息を洩らした。



   98147826.png


 花から花へ蜂はせわしなく動き回る。レンゲに飽きればアカシアへ、アカシアに飽きればマロニエへ。口元濡らして蜂は飛び回る。 
 何がそんなに美味しいのだろう。雪歩は男に尋ねたことがある。その匂いがいいのだと男は返した。分からなければそれでいいとも言った。
 反論しようとして息を吸うけれども、結局男の思うがままの声しか出せない。軽い言葉と指先に弄ばれ、彼女は身をよじらせた。
 松脂のようにぬめりを帯びていく空気。琥珀に捕らわれた虫のように腕を宙に伸ばし、男の頭部を掴んだ。
 力は入らない。自分の場所を確かめるように、雪歩はただぬるぬると手を動かした。

「かわいいよ」

 男は笑う。何て退屈な言葉だろう。それでも血肉を痺れさせる男の手が恋しくて、雪歩は嫌だ嫌だとせがんでしまう。
 甘い蜜、辛い海、饐えた花。濡れた下着はその用を忘れ、薄い霧の合間から黒い森が見え隠れする。
 男は犬のように胸を舐め回し、彼女は瞳を伏せて苦悶の声を上げた。トゲトゲした髪の先がくすぐったい。
 内腿に硬く熱い感触。何の確認もなく突き入れられた。男の低い呻きが聞こえる。白いノイズが脳裏に走り、あけすけもなく嬌声を上げた。

 ゴシップ記事にもなりやしない

 何が面白いわけでもないし、美味いわけでもない。ただ退屈な時間に耐えるためだけの単調な情事。
 どうしてそんなことを続けているのかと問われれば、続けているから続けるのだと答えるしかない。
 何が嫌いなわけでもないし、不味いわけでもない。ただそこに在ったから喰らう、それだけの関係。

 腰に手を回せば 「愛してるよ」
 指を絡ませたら 「お前しか見えない」
 背中を撫でれば 「綺麗だ」
 
 CDのリピートを聞き流しているような、そんな感覚。
 男はそれで満足していたし、彼女もそれで満足していた。ただ退屈だっただけで。
 彼女を乗せた体が揺れる。意図した動きで先端が擦れた。その度に感覚が鋭くなってゆくのを感じる。 
 何度も何度も繰り返される行為。男の身体が一瞬硬直し、熱い精を彼女の身体に吐き出した。

 彼は喉を鳴らし、彼女は身体をしならせる。
 荒い息の声も匂いも、昔とまるで同じだった。




        酔中乱歩


 

 男の底抜けに明るい声がして、雪歩は目を覚ました。軽い頭痛と若干の気だるさを覚える。
 もう慣れたことだけれど、シーツを引き寄せて彼女は身体を起こした。午前の7時。テレビのコメンテータが鶏みたいに喚いていた。
 雪歩はテレビの横を通り、ベッドの端に捨てられた下着を拾ってそのままゴミ箱へ捨てた。
 一回限りの避妊具のようなものだ。数日前に食べたであろうカップ麺の容器の上に垂れたそれは、腐ったスープのブラウンに染まっていった。

「おはようございます」

 雪歩の声に男は一瞬声を止める。だが止めたのは一瞬だけで、彼は何事もなかったかのように「おはよう」と返した。
 洗濯かごには男の服と女物の下着。私の前はいったい誰と寝たのだろう。冗談混じりに雪歩は抜けた髪を数本そこに落とす。
 口先だけには自信があると過信している彼のことだ、きっと上手く言いくるめるのだろう。ご自慢のテクニックも込みで。
 最近は行為よりもこういった悪戯の方が面白くて仕方ない。用意していた服を着ながら、雪歩はそう一人ごちて笑った。

「それじゃあ、先に行ってますね」
「おう」

 ちらりと携帯の液晶を盗み見る。ああ、今日はこの子なのね。



    ◆ ◆ ◆ ◆ ◆



 環状線を余分に一回りして、雪歩はいつも通りの時間に事務所に着いた。
 壁にかかった予定表を眺める。昨日の夜に男から大体聞いているので、あくまで形式的なものだけれど。何事も普通が大切。
 
「おはようなの」

 聞き慣れない声がして、雪歩は声がした方を振り向いた。テレビが置いてあるソファに少女が一人、だらしなく座っている。
 新しく来た候補生だろうか。雪歩は心に一つ柵を立て、自分に挨拶をしたであろう少女に声をかけた。

「お、おはようございます……」
「ねぇねぇ。ここに映ってるのって、アナタ?」

 顔を見ればすぐに分かるはずだけれど。それに名前を尋ねるときはまず自分から名乗るものだろうに。
 その金髪の少女のふてぶてしさに多少の苛立ちを感じながら、雪歩は努めて笑顔で彼女の問いに応えようとした。
 少女が見ていたテレビには、まぎれもなく「私」が歌い踊っていた。昨晩あの男と一緒に見た「私」のプロモーション映像だ。

「ああ、うん。そうだよ」
「ふうん」

 テレビに映る映像と、目の前に立つ雪歩を交互に見返した少女は、目を細めて雪歩に笑いかけた。




 「媚びた笑いだね」





 まるで全てを見透かしたうえで、敢えてとぼけているような
 大して興味を持っていない癖に、私の視線を独占するような

 そんな男と似たような雰囲気を少女は持ち合わせていると、雪歩は感じた。










 続くのかもしれないし、続かないのかもしれない


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