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1時間SS書きました

2010年05月14日 23:14

お久しぶりです。小六です。
というわけで、1時間SS書きました。

【お題】「仰ぐ」「爆発」「白詰草」「映画」
今回は「爆発」を使用させて頂きました。
 
 
 暑さが残る秋の空、大きな花火が綺麗に咲いた。
 ボクと響は、光の粒がゆるい潮風に流れてきらきら消えていくのをただ眺めていた。

「これで最後かな」
「最後なんじゃないか?」
「もう一つ位あってもいいじゃない」
「……その言葉、さっき聞いたばかりだぞ」

 ざざざ。火の粉が音を立てて水平線に散っていく。火薬の臭いが海の匂いに混じって流れてくる。
 夏の匂いだ。引いては寄せる波の音に耳を傾けながら、ボクはそっと目を閉じた。

 ああ、今年も夏が終わる。





      枯芙蓉ねずみ踊る





 花火を見に行きたいと言い出したのは響だった。
 別に花火なんてどこでも見れるじゃないかと思ったけれど、東京の花火は規模が違うとかどうとかで、半ば無理やり連れて行かれた。
 ボクとしても久し振りに花火が見れるから、嬉しかったところはある。なんにせよ、晴れてよかった。
 2時間程前に買ったラムネはすっかりぬるくなっていて、うんざりする位に甘かった。まだ煙がたゆたう夜空をぼうっと眺める。

「真はさ」
「うん?」

 炭酸の抜けたラムネを口につけながら、響は僕に話しかけた。

「こういうの、誰かと見に行ったりしたことあるか?」
「父さんと地元の花火を見に行ったことならあるよ」

 実を言うとあまり覚えていない。父さんは過保護すぎる位に僕のことを気にかける人だから、たぶん連れて行ってくれんだと思う。
 何となくだけど、綿飴の袋を片手に握り締めて、父さんの背中におぶわれていたような気もする。
 かわいい浴衣にめいっぱい喜んで、慣れない下駄に閉口しながら楽しんでいたんじゃないかな。
 人気の少ない海辺には、酔っ払った若いカップルがきゃいきゃい騒いでいた。

「そっか」
「響は?」

 響は首をひねり、額に指をやって、うーんと一つ唸った。

「あんまり覚えてないな」
「そっか」

 ボク達は顔を見合わせて苦笑する。ずっとずっと昔の頃の思い出を、こんなボク達がすぐに思い出せるわけなんてないから。
 遠くからひゅーんと甲高い音がした。ロケット花火だ。その後それに負けない位に明るい大学生の声が聞こえた。
 時計を見るともう結構いい時間で、僕の仕草を見た響は「そろそろ帰んなきゃな」と立ちあがった。

「あのさ、真」
「何?」
「もしよかったら……」



 響はじっと海の先を眺めて、少し悲しそうな顔をして、ぐっと瞳をつむって、僕の方を向く。



「……ネズミ花火買ってきたんだ」
「懐かしいね」
「だろ?夏の思い出にぱーっと騒いじゃおうぜ」

 薄っぺらいビニール袋からネズミ花火を取り出して、砂浜に落ちていたライターで火を付けた。
 尻尾に火をつけられたネズミはシュルシュルと音を立てて砂浜をのたうちまわる。
 ボク達はそれを追いかけて、逃げて、また追いかけた。海辺にいる人達にふさわしい感じに、馬鹿みたいに。
 
 ホント馬鹿みたいな遊びだったけど、それはとても楽しくて、十数個あったネズミ花火はあっという間になくなってしまう。
 最後の花火がパチンと爆ぜて闇に消えた。

「終わっちゃったな」
「うん、終わったね」
「帰ろっか」
「うん、帰ろう」

 空っぽになったラムネ瓶を片手に、ボクと響は海辺を背にして歩きだした。
 サンダルは砂まみれで、Tシャツは汗まみれで、鼻を寄せると安っぽい火薬の匂いが染み付いていた。


 



 <了>


コメント

  1. coro | URL | -

    お疲れ様でした^^

    ひびまこ!ひびまこ!(*゚∀゚)=3ムッハー!
    全体的にさわやかで、ちょっとドキッとするような部分もありながら最後もさわやかに締められてて、すごくいいなぁっとw
    こういう雰囲気はひびまこならではですねー^^

  2. 小六 | URL | -

    コメントありがとうございます!

    コメントありがとうございます!小六です。運営お疲れ様です!

    ≫coro様

    >ひびまこ!ひびまこ!(*゚∀゚)=3ムッハー!
    >全体的にさわやかで、ちょっとドキッとするような部分もありながら最後もさわやかに締められてて、すごくいいなぁっとw
    >こういう雰囲気はひびまこならではですねー^^

     ひびまこですよっ!ひびまこ!!
     実をいうと、はるちはの次に今僕の中で流行している二人だったりします。ひびまこ。こう、何と言えばいいんでしょうか、僕の中の青春浪漫とものすごくシンクロしてくれる二人です。ひびまこもっと増えてほしいですね。
     「爆発」を僕なりに解釈した結果、「花火」という結論になりました。た、たぶんお題は消化しているはず……だと思ってます…^q^ 雰囲気のベースになったのはKAB氏作のボカロ曲『夏花火』という曲と、フジファブリック『若者の全て』になります。さわやかなのにどこか憂いがある。こういう空気感が大好きです。ひびまこじゃないと引き立たない空気感かな、と感じております。ひびまこは奥が深いです…!!
     前回に引き続き夏になってしまったのは反省点ですね、もっと色んな雰囲気を見せていきたいです。

    お読み頂きありがとうございました!

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