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Farouk Demonstration

2010年05月29日 12:23

お久し振りです。小六です。
この記事は今回参加致しました一枚絵SS「Farouk」の制作過程及びネタばれとなります。
普段はこう言ったものはコメントにてぽつりぽつりと書き加えるスタイルをとっているのですが、

(1)今回のSSの内容が少し複雑で、細切れにすると逆に混乱させてしまうこと
(2)SS書きの制作過程を見せることで、SSを書く上で他の方の参考になったらいいなと思ったこと

という理由から、こうして別記事にて書かせて頂こうと思いました。

ネタばれ要素が多分に含まれておりますので、そのことに留意した上で続きを読まれる方は続きからどうぞ。
はい。というわけでネタばらしですね。
僕自身こうやって振り返るとなんてものを書いたんだろうと頭が痛いです。

今回のイラストにつきましてはこちらをどうぞ。
どうしてここで記載しないかと言われると、この文章はSSではないからです。

当然ですが、一枚絵を下にSSにする以上、一枚絵の解釈が大切になってきます。
まずはガン見、ひたすらガン見、春香さんのふとももがエロいですねはぁはぁ。
そんなに無防備だとエロいおじさんに捕まっちゃうでしょうぶっふーーー!!
…といった良心の呵責と闘いです。一枚絵は自分との戦いです。大変です。

今回の一枚絵の一番のポイントとしては、①服装、②視線、③仕草、でした。
そんなわけで、今回の一枚絵を分析すると、こうなります。

上面図

これは今回のイラストの「手と視線」を上面で捉えたものになります。
左上の"time"というのは、文字通り「時間」です。後ろにいけば過去へ、前にいけば未来へ。

(1)春香の影に美希と千早が手をつないでいる点。
(2)春香と千早が前を、美希と伊織が横を向いている点。
(3)伊織さんの兎が見えない点。

仕草についての考察は後述致しますので、まずは最も重要なポイントだけを挙げておきます。
これを相関図で捉えると、こうなります。

jmz2.jpg

描線が汚いのは小六さんの美術センスが皆無だからだね。しかたないね。
一番下にある黒はプロデューサーですね。
春香さんはそれをまっさらな目で、千早さんはそれをくすんだ目で見ています。
まぁ絵で見れば一目瞭然なのですが、ごっちゃごちゃです。わーお。
つまり、今回のSSは関係性を描くのが王道になってくるというのが分かりますね。
こんがらがった関係性を書く、つまり心理戦を書くということに落ち着きました。

さらに服装を交えてアイドル達の仕草から、アイドル達の思惑を推測します。
便宜上、左から説明します。最近右と左の区別がつかなくなりました。文字を絵で捉えている人間なので難しいんです。

美希さん
緩んだネクタイ、挑発的な視線。いわゆる悪そうな表情ですよね。何かたくらんでます。確実に。
手は千早さんと春香さんに、視線は伊織さん(のようで誰を見ているか分からないですよね)。
ワンアイドジャックの一人目ですね。今回はクラブでしたが、うまくいくならばハートにしたいところでした。
関係性を一番持っていることがよくわかります。だからこその哀愁もただよう感じですね。笑顔が哀愁を帯びています。

春香さん
視線からして、何か新しいものを見たという印象を受けました。たぶんこれがキーになるんだろうな、と。
手は千早さんに。片方が千早さんの髪の後ろにいっているというところがポイントではないでしょうか。
おそらく春香さんは千早さんの内部について関わっている。そういうイメージを受けます。
後は無防備なポーズ。おなかちらり、スカートちらり。このポーズは春香さんだけなので、是非もなく描写した部分です。

千早さん
一人だけジャージ姿。あとは無表情。くもった視線。といいますか、何かを諦めたみたいな視線。千早さんらしい千早さんです。
春香さんに「オレンジジュース(伊織の暗示)」を飲ませながら、ポーカーフェイスらしいポーカーフェイス。
美希のポーカーフェイスは人を騙すポーカーフェイスですが、千早さんのそれは人に感情を伺わせない類のものなのでしょうね。
ジャージの下に隠れているものをいかに描写するかが、千早さんを書く上でのポイントになるのではないでしょうか。


伊織さん
春香さんと同じセーラー服。まっとうな服装。きつい視線。
そして一番考慮しなくてはいけないのが、伊織さんの手、美希を牽制するような視線で千早さんを後ろに引き寄せています。
背中って、人が一番無防備になる部分です。目がないわけですから。その場所に伊織さんが位置しています。
つまり、伊織さんは千早さんの後ろめたい部分を担った上で、美希から何かを守ろうとしている。順当にいけば千早さんでしょう。

もっと考察はしているのですが、さすがに長すぎるので割愛。
こういった解釈を下に、僕が作った舞台の上でアイドル達に動いてもらいます。解釈は大切です。
本当に素敵なイラストをお描きになられるなぁと鼻血をぼたぼたと垂らしながら堪能しつつ、先へ進みます。

以上のような関係性をもとに、どのようなベースを作っていくか。
背景が白なだけに、このあたりが作者の腕の見せ所ではないでしょうか。
まさかガルシア先生とモチーフがかぶるなんて思いもしなかったんだぜ。

というわけで、資料をあさります。「服装」を念頭に置きながら、ぐーぐる先生とニコマスの作品とにらめっこ。
この時間がSSのクオリティとつながってくるような気が最近致します。
すぐに書けないのは、僕がまだSSを書いて1年未満という経験不足からくるインプット不足ですね。

で、探し当ててきたニコマス動画はこちら。

春香さん


千早さん


美希さん


伊織さん


資料を探しながら一番驚いたのは、伊織さんの制服姿のPVが他アイドルと比較して圧倒的に少ないということです。
それを逆に考えます。つまり、水瀬伊織は「制服」というイメージが薄いということは、制服をあまり着ないキャラ。
そこから、今回の伊織さんがどうして制服を着ているのか、つまり、「何らかの理由」があって制服を着た。
そして、春香さんが飲んでいるオレンジジュース、春香さんと伊織さんはセーラー服。伊織さんの視線。
これらを敷衍すると、春香さん=伊織さんという構図が見えてきます。

そうするとどうなるか、相関図がさらにややこしく二面性を帯びてきます。楽しいですね。
今回の影の主役は伊織さんです。一人ジャージを着て違和感がある千早さんではありません。
そこからうんせうんせと悩むこと幾星霜。このようなテーマを一つにつなげるモチーフは何か。

いなくなった兎。
4人の心理戦。
ずらりと並んだアイドル。

ここから、ポーカーゲームというモチーフが出てきました。
後はポーカーについての資料をがっさがっさと探す作業。
今回はこちらのサイトを主に参照させて頂きました。ポーカーなんてできないですしおすし。

本当はうさちゃんにも一仕事してもらう予定だったのですが、ストーリーの流れが悪くなりそうだったので削除しました。
うさちゃんもいい仕事してたんですよ。本当は。いいナイトです彼は。

このような考察を経てようやくイラストの見立てをします。4人の少女、つまりフォーカード。
だけど、それじゃつまらなくないですか?だってロイヤルストレートフラッシュより弱いんです。
私達は宇宙一銀河一最強なんだぜ!!というアイドル達に怒られてしまいます。
カードについて考察します。そうするとシェイクスピアの名言が浮かびました。

「全世界は舞台だ。そして、すべての男も女もその役者にすぎない」

この言葉に、先程調べていたポーカーのとある名士が重なります。
ファルーク1世、1948 年頃のカンヌで、「キングのフォーカード」と宣言して賭金を回収したが実際は 3 枚しかなく、相手が「4 枚目は?」と尋ねると、平然と「自分だ」と答えた人物です。

ここからファイブカードにしてロイヤルストレートフラッシュに勝ってみようという発想が生まれます。
つまり、ジョーカーを使う。ジョーカーはワイルドカード、不特定の男、つまりPです。
そうすると、4人とPが逢うシーンというのが、このイラストなのだという解釈になりました。

あとはこの解釈をどのようにしてストーリー化するか。
難しいですけれど、とても楽しい作業です。ずらりと並んだピースを、自分流に組み上げる時間です。
そもそも人物がカードになるなんて、意味が分からないですよね。魔法を使ったみたいです。
というわけで、魔法を作ってみました。3分間の魔法です。
魔法に翻弄されるアイドルを書いてみよう、という感じでストーリーが組み上がってきます。
大まかなイメージはこんな感じになりました。

時系列

Pが銃殺なんて書いてないよ!!と感じられる方もいらっしゃるかもしれません。
それを暗示させる描写はしっかり書き込んでおります。
「1と8は嫌い」「カラミティ・ジェーン」「パン!と音がして、世界が赤に染まる」みたいに。
なんで銃殺なのかということについては、彼のモデルはワイルド・ビル・ヒコックだからです。
アイドルが来ない場合、Pはファイブカードを作ることができず、銃殺されます。そしてもう一度ループへ。
残されたのはPの亡骸、つまりジョーカーカードになります。


伊織さんと千早さんはアイドルはこのことを知っています。
春香さんもこの光景は見ているのですが、春香さんはこの事件にショックを受け、この事実を記憶から消去します。
だから、魔法については何も「知らない」、プロデューサーさんは春香さんの中では「生きている」。
だから春香さんにはプロデューサーさんが見えていたんですね。精神的なショックから逃げるための幻影です。
千早さんは春香さんのことを思い、春香さんにこの記憶を思い出させないように春香さんの分のカードを隠します。

美希はこの事実を受け止めた上で、状況を打破しようと魔法の本当の目的を探り出します。
春香と関係を作り、千早さんに魔法をかけ、あの手この手で調べ始めます。
ですが、春香さんは「知らない」わけですし、千早さんへの魔法は「3分」で切れます。
それではなぜ美希は「ミキの幻はずっと続いている」と言ったのでしょうか。

そう、千早さんがずっとかかった「ふり」をしていたからです。
一人だけジャージ姿、くもった視線はここで消化しています。千早さんは全部自分の中に押し込むつもりでした。

だけど、そのことに気付いた人間がいます。伊織さんです。
伊織さんは呪文(メモ付き写真)の持ち主です。だからこそ、美希の言葉の違和感に気付いた。
そこから伊織さんは行動を起こします。千早さんにとって二度目の幻です。

後は流れにのせるだけです。
ここで最大の問題につきあたりました。Pはどうなるのかということです。
ループから抜け出した後、Pはどうなるのでしょうか。
それをうーんと一思案した結果、シュレディンガーの猫とタイムパラドクスが思い浮かびました。

(1) アイマス世界は二周目の記憶をPとアイドル達が共有できない
(2) 経験上、猫が生きている状態(存在)と猫が死んでいる状態(非存在)という二つの状態を認識することができるが、
  二つが重なりあった状態を認識することはない。
(3) 本来そうあるべき物事を変えてしまった場合、何らかの歪みがその後生じてしまう。

このことについては千早さんがSS中で、
「本当は4分で終わるはずの曲を無理やり3分に収めるから、歪になるのだ」
…と暗示しています。アイマスで一番最後にかかる音楽は何か、僕のSSを読んでいらっしゃる方ならご存知かと思います。
千早さんはタイムパラドクス発生について極めて消極的な態度をとっています。

もったいぶるなと言われそうなので、ちゃんと結論を。

Pは身体だけ二週目に残り、それ以外のものは全て一週目に飛ばされました。

これが歪みです。Pさんはもう一度銃殺されて、再び銃殺されるためにアイドル達と一週目を生きることになります。
春香さんが神様とのポーカーゲームに勝った後、パン!と音が鳴ったのはその暗示です。
だから春香さん(二周目)は、Pさんに向かってこう言ったんですね。本来ならPが言うべき言葉です。

「プロデューサーさんは、運命の出会いって信じてますか?」

ここまでストーリーを練り込んだ上で、僕はSSを書き始めます。
後はこのストーリーに沿ってアイドル達に動いて頂いて、僕はそれを撮影者として文字で演出するだけになります。
このストーリーを最後まで読んで頂けるために、ちょくちょく伏線を仕込みながら書きます。
千早さんのロッカートリックはアドリブです。おおこれは面白いと急遽採用したものです。
今回難しかったことといえば、各アイドル、Pの描写のウェイトバランスでしょうか。
Pに焦点を当てすぎると、僕が書きたいアイマスSSになりませんので、このあたりはびくびくしながら書きました。

以上、一枚絵SS参加者の一人のとある制作過程でした。
僕みたいにネタのストックなんてまるでない人間が、どうやってストーリーを組んでいるのか、
これからSSを書く方の参考になればいいかなと思って書いてみました。



おしまい。


コメント

  1. トリスケリオン | URL | UzUN//t6

    SSの参考にと読ませていただきましたが、本当にすごいなと思うのは細かい部分に
    注目しての設定の深さですね 誰の手を握っている 服装は何故そうなのか?そういう
    部分に注目するだけで話は無限に広がるのですね ただキャラの性格だけじゃない
    外因が内因に干渉する それで話が何倍にも広がる そういう部分をまず
    見習いたいなと 観察眼ですかね もっと俺もアイドルを注意深く
    見守りたいものです 後はやはり知識量の多さ、設定に対する資料の調査量の
    多さに脱帽です

  2. 小六 | URL | -

    コメントありがとうございます!

    コメントありがとうございます!小六です。
    SSを書き始めてまだ1年も満たないのですが、僕なりのSS表現メソッドみたいなものを地道に作っている最中です。
    「ね、簡単でしょう?」とは言いませんが、SSを書く上で他の方の参考になったらな、…と思って書いてみました。
    こんな感じの文章になってしまいますが、ご要望がありましたら表現についてのメソッド等も記事にしていこうと思います。

    ≫トリスケリオン様

    >SSの参考にと読ませていただきましたが、本当にすごいなと思うのは細かい部分に注目しての設定の深さですね。
    >誰の手を握っている 服装は何故そうなのか?そういう部分に注目するだけで話は無限に広がるのですね 

    極論を言ってしまえば、SSを書く場合には、手や指の動きだけで心情が描写できたりします。
    ある意味逃げの描写なのですが、この理論を絵に適用させると絵の見方が色々変わってくるのではないでしょうか。
    …と思ったのは、つい最近のことでした\(^o^)/
    制服にしても、なぜ制服なのか、制服である理由は何なのか、制服以外だとイメージはどう変わるのか。比較と検討、そしてアウトプットへ。
    細やかな描写の積み重ねから、全体的な雰囲気が出来てくるんじゃないかなぁと感じる今日この頃でした。


    >ただキャラの性格だけじゃない 外因が内因に干渉する それで話が何倍にも広がる 

    絵を解釈する、というと絵師様に失礼な感じがしてならないのですが、絵を下にしてSSを起こすためには必要な作業なのではないかと考えています。
    服ってその人が社会に対してどういうポジションで接するかという意思表明みたいなものが現れているような気がします。
    その人の趣向といえばいいのでしょうか。制服というもの自体、学校のモチーフみたいなところがありますし、その辺りにも個性が滲みます。
    …というのは御洒落な妹様の受け売りでした。本当にありがとうございます。\(^o^)/
    心情描写をくどくしすぎると、読みにくくなる。僕はその辺りを情景描写で補うように意識しているのですが、
    こういう発想は絵の解釈以外にもSSの描写としても応用できるんじゃないかと思っています。


    >後はやはり知識量の多さ、設定に対する資料の調査量の多さに脱帽です

    インプットがないとこれだけ調べなきゃ書けないよというある意味悪い例でした。本当に(ry
    僕の表現手法のメソッドに繋がるのですが、雰囲気を統一するためには、主要なモチーフからなるべく離れないような描写を心がけています。
    だからこそ、主要なモチーフについては可能な限り調べて、色んな情報を調べます。
    そこから連想して、自分が思いもつかなかったような表現も生まれたりしますので、個人的にはこの時間が一番好きだったりします。
    まだ頭に浮かんだ物語を、流れるように書けないのですが、自分が出したい空気感を可能な限り再現出来たらなと思いながらSSを書いております。


    お読み頂き本当にありがとうございました!

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