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夏コミ寄稿させて頂きました

2010年08月07日 23:58

お久し振りです。小六です。
リアルちゃんもやっとこ落ち着いて、もういくつ寝ると夏コミですよっ夏コミ!!
実はコミケというものに行くのは初めてだったりします。コミケは戦場怖くない!!

そんなわけで、いつも懇意にして頂いている敬礼さんのところにSSを寄稿させて頂きました。
この場をお借りして、こんな地底マントルSS書きをお誘い頂いたことに感謝の気持ちをばばば。
個人的にはひびまこはかなり熱い二人なので、もっと流行ってほしいと切に願っております。



びっくりする位に超豪華メンバーですよ!!そして僕はどう考えても画伯(笑)枠です\(^o^)/

とらのあなでも委託していらっしゃるそうですよ!プロデューサーさん!!

そんなこんなで、以下SSとなります。





 夏過ぎるくらいに夏だった。

 うんざりする位に暑い炎天の下、テレビの中では高校生が白球を追いかけていた。
 ゆらり揺らめく空気の先、マウンドに立つ投手の汗が流れて落ちる。
 ああこれが青春だなーと心の中で呟きながら、ボクは白く霜の降ったアイスを口にくわえた。

「ねぇ、ちょっと寒すぎない?」

 窓の外からはセミの鳴声がしゃわしゃわと聞こえていて、ラジオからは単調なユーロビートが流れている。
 テーブルに置いてあったリモコンを手にとり、ボクは軽くスナップを利かせてクーラーの電源を切った。
 クーラーの風が止まる。6畳間の部屋。夏真っ盛りというのに響の部屋は夕立の後みたいに涼しい。

「自分はさっき位が一番気持ちいいんだけど」

 肌寒い風から逃れられて目を細めていると、響は不機嫌そうな顔をしてボクからリモコンを取りあげた。
 沖縄生まれのくせに暑いのが苦手とかどういうことだろう。ぽち、と響がリモコンを操作するとクーラーが再び動き出す。
 
「クーラーのかけすぎは体によくないんだよ」
「だからってクーラーかけないってのは極端すぎだろ」

 投手が投げたボールはかろうじてバットの芯からはずれ、観客席の方へ飛んでいった。響は氷の入ったジュースを大きくあおる。
 ワンストライクワンアウト1塁。ピッチャーの背後にいる選手はじりりとベースから距離を離していく。
 ノーリスクノーリターンな言い争い。ボクはため息をついてフローリングに身体を委ねた。つるりとした床は氷みたいに冷たかった。

 あぁ、夏だなぁ

 仰向けになったボクは、瞳を伏せて意識を雑多な音の海に沈み込ませた。







    ピッチャー返し時速160キロ





 床に映る響の姿はボクを見ることもなく、ぼんやりとテレビの野球中継を眺めている。ボクは響に背を向けて雑誌を読み始めた。
 色とりどりのページをめくりながら、夏らしい写真を見つけては自分の姿を重ねて夏を満喫する。
 ラジオはユーロビートからうだるようなバラードへ。恋は夏の幻だなんて言葉、よく思いつくもんだなぁと少し感心する。

「ねーひびきー」
「クーラーはこれ以上下げないからな」
「分かってるよ」

 テレビを見ることにも飽きたのか、響はCMの合間に軽いストレッチをし始めていた。
 相変わらずボク達の視線が逢うことはない。ボクは雑誌を上に掲げてそれを響に見せる。それを見た響はぴくりと苦い顔をした。

「……もう雑誌に載ってたのか」
「自分のこと位ちゃんとチェックしないと。それよりさ、ライブ楽しかった?」 ボクは雑誌に映る響の姿を眺めながら尋ねる。

 もちろん!めちゃくちゃ楽しかったぞ! ……なんて言葉、響の口から出るはずなんてなくて。

「あー…まぁ、それなりに楽しかったよ」

 代わりに出てきたのは、歯切れの悪い言葉だった。
 こんなことをして何が楽しいのだろうと思ったけれど、響の困った顔は珍しくて、もうちょっと遊んでみたいとも思った。
 エースの得意球であるチェンジアップはバットの下をくぐり、パシンとミットに収まる。ツーストライク。
 思わずニヤけてしまいそうになる顔をこらえ、ボクは極めてさみしそうな顔つきをした。

「そっかぁ。ボクも行きたかったなぁ」
「ホントは誘うつもりだったんだ。あーその、いろいろとさ、ドタバタしてて」

 もごもご。
 続く言葉は観客の声援にかき消されていった。本当に言い訳が下手なタイプだよなぁ、と心の中で苦笑する。
 部屋の中がじれったい位に静かになる。
 それが居たたまれなくなったのか、響は悪態をつきながらラジオのボリュームを少し上げた。
 
 別に怒ってなんかないんだけどね

 聞こえてきたのは響が好きなアーティストの曲だった。確かこの人も響と一緒にライブに行ったんじゃなかったかな。
 どうにかしてボクの機嫌を治そうとして、慣れない言葉選びに悪戦苦闘しているようだった。
 その姿を見ていると怒りなんて忘れてしまいそうで、緩む口元を雑誌で隠す。

「真には悪かったと思ってるよ」
「何が?」
「何がって……そりゃだなぁ………あーもー!!!」

 強肩で有名なキャッチャーが二塁に走り出した選手を刺す。勢いよく立ちあがった響はベランダの窓を力任せに開け放った。
 蒸し暑い風が窓の外から吹き込んでくる。壁にかけてあったカレンダーがひらり浮き上がる。
 ツーアウトツーストライク。ベンチに立つ監督がエースに指示を出し、エースはにやりと頷いた。
 ちょっとやりすぎたかなぁ、とも思ったけれど、これ位は許してもらってもいいだろう。

「楽しみにしてたんだけどなぁ」

 真夏の空気を震わせる位に投手はその腕を大きく振りかぶった。得意の超豪速球ストレート。

 ボクも響もアイドルなんだし、それに加えてあのライブは響が夢見た舞台の一つなんだし、ボクだってそれ位分かってる。
 でも響が自分以外の何かに夢中になって、ボクのことを見てくれないのはちょっとなんだか気に食わない。
 それを嫉妬と人は言うんだろうけど、まぁたまにはこういう日もあっていいんじゃないかなって。

 ベランダの向こうで頭を抱えて唸っていた響を見ながら、そんなことを思った。

「……約束、すっぽかしてごめんなさい」
「最初からそう言ってくれたらよかったのに」

 だってやっぱり、響のことがダイスキだし。

 バッターが一か八かで振り抜いたバットに白球がミートする。空に抜けるような音を立てて、ボールはまっすぐスタンドへ飛んでいった。
 えへへとニヤけるボクの顔を見て、響は「これでいいんだろ」とふてくされながらさっきいた場所に腰を下ろした。

「それで、今日はその埋め合わせをしてくれるんでしょ?」

 南国生まれの癖に暑いのが苦手な響は、窓を閉めてクーラーの温度をでたらめな位に下げていた。

「おう!真の言うことだったらなんくるないさ!どんなことでもつきあってやるさ!」

 もうどうにでもなれといった感じで、響の声はところどころで裏返っていた。別に獲って食べるつもりなんてないのに。
 そんな様子を見て軽く吹き出してしまう。ホント、普段はなんくるないさーとか言ってるくせにこういうところはなんくるあるんだよね。
 クーラーはガンガンに効いているくせに、響の顔はとても赤かった。これじゃまるでボクが悪いみたいじゃないか。
 照れ隠しに氷の溶けたジュースをあおって、ボクは響の隣に座り直した。

「本当に何でもしてくれるの?」
「……自分、暑いのは苦手だから」
「なんだよそれ」

 部屋の中は鳥肌が立つ位に寒かったのに、夏過ぎるほど夏だった。







 <了>


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